研究課題
1)界面活性剤の自己組織化構造に及ぼす光学異性の影響の解析 立体配置がanti 型とsyn 型のオレイン酸系ジェミニ型界面活性剤を合成し、親水基の立体配置が界面物性へ与える影響を検討した。親水基にカルボン酸基を有し立体配置の異なるanti-/syn-DC-10-ODEsを合成し、希薄水溶液物性の評価を行ったところ、syn型はanti型に比べて気/液界面における分子占有面積が大きく、これにより表面張力の低下能に優れ、cmcは高くなることが明らかになった。anti-/syn-DC-10-ODEs / 水の2成分系相挙動からは、anti型に比べてsyn型でより低濃度領域からラメラ液晶相が形成され、より曲率の小さな液晶相へ転移しやすいことが明らかとなった。2) アゾベンゼン修飾界面活性剤を用いた光粘性制御系における分子集合体の構造変化 前年度に引き続き、有機溶媒中でレシチンが形成する逆紐状ミセル溶液に種々のアゾベンゼン誘導体を添加した系を用いて、有機溶媒中での可逆的な光粘性制御について検討した。その結果新規に合成したアゾベンゼン誘導体(4-Butoxy-4′-(phenoxyazo)butanol)を用いた時にもっとも効率的に粘性変化を誘導できることを見出した。さらに、水溶液中でアゾベンゼン修飾界面活性剤が形成するミセル構造の光照射による変化を小角中性子散乱測定により詳細に評価することに成功した。3) 難水溶性有機化合物の添加による界面活性剤分子吸着膜のモルフォロジー変化 界面活性剤が固/液界面で形成する吸着膜に光応答性物質を可溶化させ、その構造に及ぼす光異性化反応の影響について検討を行った。原子間力顕微鏡、水晶振動子マイクロバランス法、エリプソメトリーなどの手法を用い、吸着膜のモルフォロジー、厚さ、水和量などの評価が可能となった。
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Journal of Oleo Science
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