研究課題/領域番号 |
23550234
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
安川 雅啓 高知工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (10332082)
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研究分担者 |
植田 和茂 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70302982)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | セラミックス / 熱電材料 |
研究概要 |
錯体重合法と放電プラズマ焼結法を用いて(Ba1-xSrx)1-yLaySnO3セラミックスを作製し、100~800℃の温度範囲で電気伝導率とゼーベック係数を測定し出力因子を評価した。出力因子の比較的高いセラミックスについて熱伝導率を測定し、性能指数を評価した。(1)Ba1-yLaySnO3については、y=0.000~0.070の間でLa濃度を細かく変えたセラミックスを作製し、出力因子を評価した。出力因子はy=0.002及び0.005のセラミックスで比較的高い値を示した。これらのセラミックスに対して熱伝導率を測定し無次元性能指数ZTを評価したところ、いずれも800℃で約0.1の値を示した。(2)Sr1-yLaySnO3については、y=0.01, 0.03, 0.05とLa濃度を変えたセラミックスを作製し、それぞれの出力因子と性能指数を評価した。いずれのセラミックスも、無次元性能指数ZTは800℃で0.01のオーダーの値となり、Ba1-yLaySnO3セラミックスに比べ低い値となった。これは、Sr1-yLaySnO3系の電気伝導率が低いことに起因する。(3)(Ba1-xSrx)1-yLaySnO3についてy=0.005のセラミックスに対して出力因子を評価したところ、Sr濃度の増加とともに電気伝導率が減少し出力因子は減少した。 これまでの結果から、(Ba1-xSrx)1-yLaySnO3セラミックスについては、Ba1-xLaxSnO3(x=0.002,0.005)に対して無次元性能指数ZTが最大となり800℃で約0.1となっている。 Ba0.995La0.005SnO3セラミックの熱伝導率低減を目的として、錯体重合法と放電プラズマ焼結法の条件検討によるセラミックスの微細構造制御を行った。不純物と気孔が残存するもののセラミックの粒径制御が可能であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)(Ba1-xSrx)1-yYySnO3の合成が未完了となっているため、平成24年度当初に実施する。(2)(Ba1-xSrx)1-yLaySnO3の結晶構造精密化が遅れているため、平成24年度に継続して実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度(1)平成23年度に未完了であった(Ba1-xSrx)1-yYySnO3の合成を行い、Yの固溶と電気伝導性について検討する。(2)平成23年度に未完了であった(Ba1-xSrx)1-yLaySnO3の結晶構造精密化を継続して行う。(3)当初に計画している平成24年度研究実施計画を遂行する。すなわち、(Sr1-xCax)1-y(Y,La)ySnO3について、錯体重合法と放電プラズマ焼結法によりセラミックスを作製し、出力因子と性能指数を評価する。また、結晶構造と熱電特性との相関を解明する。平成25年度(1)当初に計画している平成25年度研究実施計画を遂行する。すなわち、(Ba1-xSrx)1-y(Y,La)ySnO3及び(Sr1-xCax)1-y(Y,La)ySnO3のセラミックスの内、最も高い性能指数を示すセラミックについてナノ構造制御を行い、熱伝導率低減による性能指数の向上に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度直接経費の平成24年度への繰越金額は742,450円となっている。この内651,000円は平成23年度末に発注した熱伝導率測定の経費(その他)として使用済みであり、残りの91,450円は(Ba1-xSrx)1-yYySnO3の合成のための経費(物品費)として平成24年度に使用する予定である。 当初計画の平成24年度直接経費は1,300,000円となっており、計画通り、物品費500,000円、旅費300,000円、その他500,000円として使用する計画である。
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