研究課題
溶融混合法によるブルーサイト表面の脱水反応を利用してブルーサイト-糖アルコールナノハイブリッドの調製に成功した。ブルーサイト層間にはキシリトール、ソルビトール等の5炭糖、6炭糖の糖アルコール分子が脱水反応を伴ってインターカレートすることが明らかになった。また、水が介在する水熱反応ではインターカレーションが極めて困難であることも明らかになった。この有機無機複合体は、人体への影響が少ない物質から構成されているため、ドラックデリバリーシステムなどのキャリア材料として応用できる。次にこのブルーサイト-糖アルコールナノハイブリッドの応用化を図るため、セルロース系材料とのコンポジットの調製を試みた。セルロースも天然の野菜、果物等にも多く含まれ、接種しても安全なバイオマス資源である。また、この物質は酸に弱い薬剤を保護するとともに胃壁などへの刺激、薬物からの胃粘膜の保護などの働きを有し、腸で溶解して薬理作用を発揮する。今回、熱可塑性セルロースを用いて溶融混練法によるコンポジット調製を実施した。その結果、ブルーサイト層間にセルロース分子が挿入した層間挿入型ナノコンポジットを形成していることが明らかになった。また、このナノコンポジットは、約3質量%ブルーサイト含有系で約20%引張弾性率の向上が認められた。この物性向上は、参照試料として用いた有機修飾粘土の効果とほぼ同レベルであり、ブルーサイトがセルロールマトリックスに良好に分散し、マトリックス強化剤としても機能したと考えられる。これらの知見は、材料のフィルム化などによる新たな応用展開が期待される。
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JOURNAL OF THE SOCIETY OF INORGANIC MATERIALS,JAPAN
巻: 20 ページ: 414-417