研究課題/領域番号 |
23550239
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
後藤 康夫 信州大学, 繊維学部, 准教授 (60262698)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | セルロース / 再生繊維 / 高性能化 / カーボンナノチューブ |
研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)をカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカテキンを分散剤として用いてセルロースのN-メチルモルホリン-N-オキシド溶液に微分散させることで、セルロース繊維の高速紡糸が可能となる紡糸液を調製し、高速巻取り装置および凝固槽を具備した新規な紡糸装置を使い、高性能セルロース再生繊維の創製を押し進めた。新規紡糸装置を十分活用するため、一度に調製する紡糸液量を増やすことが不可欠であったが、各種混練装置および撹拌条件を鋭意検討した結果、CNTが高分散した300mL程度の紡糸液を一度に作ることができるようになった。 作製するセルロース再生繊維の高性能化のため、用いるセルロース原料の分子量をより分子量の高いコットンリンターおよびユーカリ由来パルプを選定した。分子量増加に伴い、CNT添加による影響もあいまって紡糸溶液の粘度増加が大きくなり、紡糸装置でスムーズに押し出せなくなる問題が発生した。これらの問題は、紡糸液濃度の調整、紡糸温度の制御などによりおおむね解決することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
セルロース源の選定を含めた紡糸液調製については、おおむね計画通りに進捗した。新規に導入した高速巻取りを可能とする紡糸装置については、設計の練り直しが必要となり、発注が遅れてしまった(縦型凝固槽は液安定性に難があり、一方、横型凝固浴でも高速巻取りが十分可能であることが実験より判明したため、装置の仕様を変更した。ただし高速巻取りが第一目的であることには変わりはない)。そのため、導入が年度末ギリギリとなってしまい、十分な紡糸試験の時間を確保することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
装置の導入時期が遅くなったため、予定よりやや進捗は遅れてはいるものの、リヨセル法を基本とする紡糸溶液の調製方法や高速巻取り紡糸装置を用いた紡糸法は当初の予定通りに進めていく予定であり、研究の推進方策に変更はない。実験環境が整った状態にあるので、鋭意実験を押し進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画した通りに研究を進めていくので、研究費の使用は基本的に申請時の計画に大きな変更はない。ただし高分子関係のもっとも大きな国際会議で研究成果を公表する予定であるが、次年度は日本で開催される予定であるため外国旅費を圧縮し、その分をセルロース溶剤の購入量を増やし、より多くの実験データを蓄積するために試料作製のスケールアップを図る方向にしていく予定である。
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