単層カーボンナノチューブ(SWNT)を利用することでリヨセル法による紡糸時の紡糸速度向上を図り、再生セルロースの高性能化を試みた。力学物性に重大な影響を及ぼすSWNTの分散は、デオキシコール酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールの2種類の分散剤を併用することで効率良く実現できることを見いだした。ポリマーに対し0.3wt%以下のSWNTを添加することにより、未添加と比較し紡糸速度ならびに力学物性の大きな向上が認められ、引張強度1.2GPaならびに結節強度0.6GPaの物性を有するII型結晶セルロース再生繊維が得られた。物性向上は、紡糸速度増加に伴うセルロース分子の配向性向上が主な理由と考えられた。
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