研究課題/領域番号 |
23550249
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研究機関 | 千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
谷尾 宣久 千歳科学技術大学, 総合光科学部, 教授 (50217121)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 光学ポリマー / 屈折率制御 / 屈折率予測 / 屈折率 / アッベ数 / 原子屈折 / 原子分散 / 分子鎖パッキング状態 |
研究概要 |
光学ポリマーの屈折率制御が重要な技術課題となっている。ポリマーの屈折率は、分子鎖のパッキング状態と化学構造で決定される。我々は、Lorentz-Lorenz式に基づき、ポリマーの繰り返し単位の化学構造のみから屈折率およびその波長依存性(アッベ数)を計算する方法を提案している。本研究では、屈折率を計算する際に基盤となる"原子屈折、原子分散値"および"ポリマー固体中での分子鎖パッキング状態"を決定、解明することにより、提案している屈折率予測法を、様々な化学構造、結合様式をもつ光学ポリマーに対応できるように発展させることを目的としている。 光学ポリマーの屈折率予測に必要な原子屈折および原子分散値を精密屈折率測定から決定する。また、種々の結合様式、分子鎖凝集状態を持つポリマー固体の分子鎖パッキング状態を精密密度測定より解明する。そして、決定した原子屈折、原子分散値およびパッキング係数を用いてポリマーの屈折率を繰り返し単位の化学構造から計算し、実測値との比較を行い、屈折率予測法の適用性を検証するとともに、予測精度の向上を図る。 平成23年度は、まず精密屈折率測定を可能とする装置体制を整えたうえ、フッ素(F)、ケイ素(Si)、フェニル基、およびアミド基の原子屈折および原子分散値の決定を行った。解明した原子屈折および原子分散値を用いて計算したフッ素系ポリマー、芳香族ポリマーおよびポリアミドの屈折率およびアッベ数は、プリズムカップリング法により測定した実測値とよく合い、解明した値の信憑性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、まず精密屈折率測定を可能とする装置体制を整えたうえ、測定用ポリマー固体の作製、試料の準備を行う。そして、サンプルの屈折率測定および密度測定を行い、未解明の原子および原子団について、原子屈折、原子分散値を決定していくことを目的としていた。具体的課題としていたフッ素(F)、ケイ素(Si)、フェニル基、およびアミド基の原子屈折および原子分散値の決定を行ったことから、当初の計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、種々のサンプルを作製準備し、引き続き、屈折率測定および密度測定を行い、データの蓄積に努め、解明した原子屈折および原子分散値の信憑性を高めていく。また、種々の結合様式、分子鎖凝集状態を持つポリマー固体の分子鎖パッキング状態を解明していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
測定用試料の準備、作製に必要な試薬、ガラス器具等、研究に必要な消耗品を補填しながら、屈折率の精密測定を行い、データを蓄積する。また、得られた成果を公開し始める。これに必要な旅費にあてる。
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