研究課題
ポリイミドは高耐熱性、低誘電性、高強度などの優れた物性を持ち、光電子材料として用いられている。本研究ではプリンタブルエレクトロニクス用ポリイミドを開発することを目的とし、光反応による表面修飾反応を検討した。(1)表面レリーフパターニング:10 wt%のPAG又はPBGを含んだPAA (PMDA/ODA)、PAA(BPDA/ODA)、PAA (BPDA/DCHM)フィルムに露光後、120℃~220℃までステップ加熱を行ったところ、表面レリーフが形成されていることが分かった。PAGを添加した場合ネガ型のパターンになるのに対してPBGを用いた場合はポジ型のパターンが得られ、現像することなく表面レリーフを形成する方法を見出した。表面レリーフの形成は露光部で発生した酸又は塩基が低温イミド化触媒として働き、ポリイミドの分子鎖のパッキングを変化させる事により誘起されたというメカニズムを解明した。(2)発泡構造パターニング:10 wt%のPAGを含むPAAフィルムを露光し、加熱後に化学イミド化を行ったところ、露光部又は未露光部が選択的に白濁した発泡構造がパターニングされたフィルムが得られた。PAA (BPDA/ODA) は露光部に直径5μm前後の凹型の発泡構造が生成するのに対し、PAA (BPDA/DCHM) では未露光部に凸型の発泡構造が生成した。選択するPAAにより発泡するエリアと発泡構造の形状がコントロールできることを見出した。(3)光表面自由エネルギー制御:10 wt%のPAGを含んだt-BOC-PI (BTDA/6FAP) フィルムに露光し、照射前後の水に対する表面接触角を測定した。露光前後の表面の濡れの様子をFig.4 に示す。露光前は60°であった接触角が露光後に18°へ変化した。光照射によりPAGから発生した酸により側鎖のBOC基が脱保護され、フィルムが親水化した。またPI(BTDA/6FAD/SSDA)では79°から11°までと非常に大きな濡れ性変化を誘起した。フィルムのXPS測定から、露光によりフィルム表面が光酸化されたことが親水化の原因であるとわかった。
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