研究課題/領域番号 |
23550252
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 春実 関西学院大学, 理工学研究科, 専門技術員 (10288558)
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研究分担者 |
窪田 健二 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40153332)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ゲル化 / 赤外分光法 / 水素結合 |
研究概要 |
増粘多糖類であるジェランガムの放射光を用いたSAXS/WAXD同時測定を試み、ゲル化機構の鍵を握っていると考えられる分子内・分子間水素結合の温度変化について調べた。また、赤外分光測定より官能基レベルでのゲル化に伴う水素結合の様子を詳しく調べた。特に、ジェランガムは繰り返し単位の4糖のうちの一つに、赤外領域に強い吸収帯を有する C=O 基を持つので、この C=O 基由来のバンドを、ジェランガム分子鎖と溶媒である水との水素結合やコイル-へリックス転移に伴う構造変化、さらにはへリックス鎖が会合し強固なゲルを形成していく様子をとらえるマーカーバンドとして用い、詳細に解析した。溶媒として水および重水を用いて、このC=O 基のバンドの温度変化を観察し、コイル-へリックス転移をC=Oバンドの水素結合状態から解析することができた。このことから、ゲル化に伴い溶媒との水素結合が切れてへリックス構造を形成することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるSAXS/ラマン同時測定は難しいが、SAXS/WAXD同時測定を行い、赤外分光法の測定については、ほぼ目標としていた研究成果があげられているので、研究の目的の達成度については、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基にして、引き続きSAXS/ラマン測定を試み、赤外分光法による測定もより詳細に行う。より詳しい知見を得るために、重水を用いるだけでなく、pH変化によるジェランガムの凝集・会合状態の変化、尿素添加による水素結合の様子の変化を調べる。これらのことより、ゲル化に伴う水素結合の役割を明らかにすることを試みる。研究分担者の窪田は、試料精製および平成23年度の結果を受けて研究代表者である佐藤と、ゲル化に伴う分子鎖全体の構造変化に関して議論を行う。また光散乱測定により分子鎖全体の構造変化に関する情報を得ることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主には物品と旅費に使用する。測定には昨年度購入した装置および現在研究室で保有している装置を用いる。また、平成23年度にある研究費の未使用額分は繰越て平成24年度の研究費と合わせて使用する。これは、年度末に開催される学会で研究成果を発表し、それに続けてドイツとチェコの海外研究協力者との研究打ち合わせを行うため、平成24年度の研究費と合わせて有効に使用するためである。
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