研究課題/領域番号 |
23550252
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 春実 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10288558)
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研究分担者 |
窪田 健二 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40153332)
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キーワード | ゲル化 / 赤外分光法 / 水素結合 |
研究概要 |
微生物由来の多糖類であるジェランガムのゲル化機構を明らかにするために、放射光を利用した時間分解小角散乱測定および赤外・ラマン分光測定を行った。特に、赤外・ラマン分光測定の結果からはジェランガムのゲル化過程におけるpHの影響を、官能基レベルで調べることに初めて成功した。pHが高いときにはカルボン酸が完全に解離した状態にあるためゲル化温度に変化は見られないが、pHが低いときにはpHを下げることでゲル化温度が低くなることが示された。これは、pHが低いときには酸加水分解の影響が大きく、2重らせんを形成できない低分子量のジェランガムが存在するため、2重らせんを形成しうるジェランガム濃度が下がったからであると考えられる。以上のように、当該年度の研究によってジェランガムのゲル化機構のpHの影響を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったSAXS/ラマン同時測定は難しため、SAXS/WAXD同時測定を行った。解析については非常に散乱強度が弱いために困難を極めているが、pHの違いによるSAXSプロファイルの違いが確認できた。赤外分光法の測定については、ほぼ目標としていた研究成果が達成できており、またラマン分光測定の遂行により、より詳細な結果が得られているため、現在までの達成度については、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度、24年度に得られた結果を基にして、赤外・ラマン分光法によるより詳細な温度変化測定およびカチオン添加による影響を調べる。また、帰属については、量子化学計算を用いて、まだ明らかになっていないバンドの帰属や、より正確な帰属を試みる。カチオンの種類についても1価、2価カチオンについて検討し、これまでの結果を踏まえて総合的にゲル化に伴う水素結合の役割を明らかにすることを試みる。 研究分担者の窪田は、研究代表者である佐藤と十分な議論をしながら、試料精製および光散乱測定により分子鎖全体の構造変化に関する情報を得ることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、主には物品と旅費に使用する。物品は分光測定に使用する消耗品であり、分光測定については、現在研究室で保有している装置を用いる。旅費は得られた研究結果を学会等で成果発表をするためのものである。
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