研究概要 |
REBaCuO系超伝導バルク(RE:希土類元素)は、REBa2Cu3O7超伝導相とRE2BaCuO5非超伝導相、Ag, Ptなどからなる複合材料であり、パルス着磁により5 T(テスラ)を超える「超伝導バルク磁石」が実現している。25年度は、様々な形状や配置のパルスコイルを用いた超伝導バルクのパルス着磁に関するシミュレーション解析結果を基礎に、実証実験により5テスラ級の超強力な疑似永久磁石の実現を目指した。さらに、新しい超伝導バルクとしてMgB2バルクを作製し、パルス着磁や磁場中冷却着磁を用いてMgB2超伝導バルク磁石の可能性を実験とシミュレーションにより明らかにした。 1 シミュレーション解析によるパルスコイルの最適化とコイル設計 これまでに構築した超伝導バルク内の電磁場・温度の連成シミュレーション解析により、様々な形状や配置のパルスコイルに対して、様々な条件(例えば、初期温度分布、印加パルス磁場、パルス幅など)によるパルス着磁における超伝導バルク内の磁場と温度の時間変化を計算した。その結果、超伝導バルクを効率よく着磁するパルスコイルの形状の最適化を行った。 2 超伝導バルクの着磁実験 既存のパルスコイルを用いて、様々な形状(四角型、円盤形)、材質(REBaCuO, MgB2)の超伝導バルクをパルス磁場で着磁した。着磁現象を正確に把握するため、バルクの表面には複数のホール素子と温度計を設置して、磁場及び温度の場所及び時間依存性を測定した。また、磁場中冷却着磁を用いて最大捕捉磁場とその温度依存性を評価した。 3 GdBaCuOバルクとMgB2バルクの磁場中冷却着磁の実験と捕捉磁場シミュレーションを様々な特性のバルクについて実施し、Jc-B特性を正確に評価することにより捕捉磁場をシミュレーションで再現できることを明らかにした。
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