研究課題/領域番号 |
23560005
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
西山 洋 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50303186)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ZnO / 触媒反応 / 超音速分子ビーム |
研究概要 |
真空中に設置した固体触媒上で水素と酸素を燃焼させることにより、容易に高温状態の水分子ビームを生成することかできる。これを加水分解しやすいアルキル金属と衝突させ、反応させることによって、気体の金属酸化物分子を生成し、高い品質の金属酸化物薄膜を作製可能であることを着想し、研究を行なっている。水素―酸素燃焼用の触媒は極めて単純な触媒であるが、本研究においては特に重要な触媒である。1773Kを超える高温環境においても活性を持続的に維持し、点火-消火を繰り返しても薄膜の結晶成長を阻害する担体由来の微粉末が生成しない、長寿命触媒が必要である。このため担体として耐熱性に優れた安定ジルコニア担体およびハニカム担体を用いた。各担体表面への金属担持は、含浸担持法を用い、湿式で担持した。担持金属 としては水素・酸素の燃焼活性が高いPtを単独で用いた。触媒の作動条件は、ターボ分子ポンプを取り付けた差動排気型四重極質量分析計(本研究室現有)で水分子ビーム中のガス成分を分析することにより決定した。Pt担持量および担体を変化させながら成膜を行い、X線回折装置(学内共同利用施設)および比抵抗/ホール測定装置(学内 共同利用設備)を用い、薄膜の特性評価を行い、膜特性が最も高くなる触媒構成および触媒作動条件を決定した。検討の結果、酸化ジルコニウム焼結体を粉砕した担体が本手法に最も適していることを見出し、従来は数時間で劣化していた触媒活性を、100時間以上継続して用いても触媒活性が劣化せず、水素-酸素を継続的に燃焼可能な触媒を見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、CEW-CVD法に用いる長寿命触媒の開発を重点的に行い、概ね満足できる性能の触媒を開発することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究において、触媒表面上での水素-酸素の反応状況の違いが、ノズルから噴出する水ジェットの状態が変化し、堆積させるZnO薄膜の電気特性を大きく変えることが明らかになってきた。今後の方策としては、ノズルから噴出する水ジェットの挙動解析をコンピュータ・シミュレーションと実測の両面から進めていく。特に本年度は、反応容器から噴出する水分子ビームの真空容器内での挙動を計算流体力学シミュレーションで解析を行い、最も効率よく薄膜を成膜できる水分子ビーム用ノズルの形状を最適化する。次年度に使用する研究費は、昨年度に行った、長寿命触媒の開発が順調に進展し、当初計上していた、塩化白金酸や触媒担体となる酸化ジルコニウム等の試薬の使用量が少なかったことにより発生した。
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次年度の研究費の使用計画 |
シュミレーションに必要となるコンピューターを購入し、シュミレーションを遂行する。継続してZnO薄膜を作製するのに必要となる、亜鉛原料、基板、真空部品の消耗品を購入する。昨年度に生じた研究費に関しては、シュミレーションにより最適化を行った構造のノズルをステンレスで実際に作製するために用いる。
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