研究課題/領域番号 |
23560007
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鍋谷 暢一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (30283196)
|
研究分担者 |
松本 俊 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (00020503)
村中 司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (20374788)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 太陽電池 |
研究概要 |
太陽電池は燃料を必要とせず、太陽光を照射するだけで半永久的に利用できるため、身近な電力源としての役割は大きい。しかし、現在実用化されているSi系やCuInGaSe(CIGS)系半導体太陽電池の効率は十数%であり、さらなる高効率化は必須である。 禁制帯中に中間バンドをもつマルチバンドギャップ半導体では、中間バンドを介した光吸収により、禁制帯幅よりも小さいエネルギーの光も吸収して自由キャリアを生成できる。本研究では、2.26eVの禁制帯幅をもつZnTeに局在準位を形成する酸素(O)を添加し、局在準位を高密度化して中間バンドを制御する。そして、ZnTeO混晶を光吸収層とするマルチバンドギャップ半導体太陽電池を作製するとともに、その高効率化を目指して太陽電池全体のバンド構造の最適化を行う。 本年度は(001)ZnTe基板上へのZnTeO混晶の作製を中心に研究を行った。結晶成長は分子線エピタキシー(MBE)法により行った。ZnおよびTeは固体原料を、OはO2ガスをRFプラズマで活性化して供給した。Oを供給することによって、著しく成長層の結晶性は悪化した。当初は成長中の反射高エネルギー電子線回折(RHEED)では、積層欠陥を示唆するパターンが見られたが、基板前処理を最適化することによって積層欠陥を抑制することができた。X線回折(XRD)で結晶構造を調べると、成長したZnTeOはすべて閃亜鉛鉱構造であった。またO組成は1%以下のものが再現性良く成長できることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZnTeO混晶を太陽電池として利用する場合には、変換効率が最大となるときのO組成は2%である。本研究ではおおむねその半分の1%まで再現性良くZnTeO混晶を作製する技術を得ることに成功している。さらにその技術は基板の前処理が主であり、エピタキシャル成長を行う上で基板と成長層の界面に非常に重要な条件出しである。まだ成長温度やO流量、RFパワーなどを最適化することによってO組成が2%以上でも結晶性の高いZnTeOを成長することが考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
ZnTeO混晶の成長に関しては、これまでに得た前処理条件に加え、成長温度やO流量、RFパワーなどを変化させて最適な成長条件を見出す。その構造をXRDだけでなく、透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、成長層/基板の界面の解析を行う。 成長したZnTeOの光学特性や電気的特性をフォトルミネセンス(PL)やHall測定などによって調べる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
TEM観察を行うためにTEM試料作製に必要な消耗品などを購入したり、成果発表/情報収集のための学会参加に充てる。
|