研究課題/領域番号 |
23560007
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鍋谷 暢一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (30283196)
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研究分担者 |
松本 俊 山梨大学, その他部局等, 名誉教授 (00020503)
村中 司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (20374788)
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キーワード | 太陽電池 |
研究概要 |
太陽電池は燃料を必要とせず、太陽光を照射するだけで半永久的に利用できるため、身近な電力源としての役割は大きい。しかし、現在実用化されているSi系やCuInGaSe(CIGS)系半導体太陽電池の効率は十数%であり、さらなる高効率化は必須である。 制帯中に中間バンドをもつマルチバンドギャップ半導体では、中間バンドを介した光吸収により、禁制帯幅よりも小さいエネルギーの光も吸収して自由キャリアを生成できる。本研究では、2.26eVの禁制帯幅をもつZnTeに局在準位を形成する酸素(O)を添加し、局在準位を高密度化して中間バンドを制御する。そして、ZnTeO混晶を光吸収層とするマルチバンドギャップ半導体太陽電池を作製するとともに、その高効率化を目指して太陽電池全体のバンド構造の最適化を行う。 本年度は太陽電池構造の最適化に必要なpn接合の形成を行うための導電性制御を主たる研究項目として行った。ZnTeOの母体であるZnTeは自己補償効果のためにp型化は容易であるがn型化が困難である。したがって成長中のドナードーピングではなく成長終了後にドナー元素を熱拡散することでドナーの注入を行った。ドナー元素としてAlを利用した。Alを蒸着し、水素雰囲気中でアニールした試料をSEM,カソードルミネセンス(CL)を用いて評価した結果、Alが拡散していることがわかった。さらにホットプローブ法を用いてpn判定を行った結果、n型化していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
太陽電池として最も効率が高い構造はホモ型のpn接合である。自己補償効果のためにn型化が困難度考えられているZnTeOに対してドナーの熱拡散を行いn型化に成功していることからホモ接合型の太陽電池の形成が可能であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
n型化が可能であることはすでに明らかにしたので、p型ZnTeO層上へn型層を形成し、ホモ接合型の太陽電池構造を作製する。これにより短絡電流密度、開放貴電圧、フィルファクター、変換効率を求めることができる。また、O組成とドナーであるAlの拡散深度との関係を調べることが必要である。これらは前年度までに使用した評価方法が適用できる。さらにはO組成を向上させてより変換効率の高い太陽電池構造を作製することを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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