太陽電池は燃料を必要とせず、太陽光を照射するだけで半永久的に利用できるため、身近な電力源としての役割は大きい。しかし、現在実用化されているSi系やCuInGaSe(CIGS)系半導体太陽電池の効率は十数%であり、さらなる高効率化は必須である。 禁制帯中に中間バンドをもつマルチバンドギャップ半導体では、中間バンドを介した光吸収により、禁制帯幅よりも小さいエネルギーの光も吸収して自由キャリアを生成できる。本研究では、2.26eVの禁制帯幅をもつZnTeに局在準位を形成する酸素(O)を添加し、局在準位を高密度化して中間バンドを制御する。そして、ZnTe混晶を光吸収層とするマルチバンドギャップ半導体太陽電池を形成することを目的とする。 本年度は、マルチバンドギャップ半導体であるZnTeO混晶におけるOが形成する局在準位の状態を調べるために、Deep Level Transient Spectroscopy(DLTS)を行った。その結果、一般的にはp型半導体であるZnTeO中に電子のトラップが伝導帯下端から約0.2eVに形成していることがわかった。
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