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2012 年度 実施状況報告書

ZnO/ZnMgO系量子井戸によるシュタルク効果型光変調器の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560010
研究機関鳥取大学

研究代表者

阿部 友紀  鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20294340)

研究分担者 安東 孝止  鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60263480)
キーワード紫外光変調器 / 量子閉じ込めシュタルク効果 / ZnO/ZnMgO量子井戸 / MBE成長
研究概要

本研究の目的は, 励起子結合エネルギーの大きいZnO系II-VI族化合物半導体量子井戸における励起子効果(量子閉じ込めシュタルク効果)を最大限に活用することによって, 超高速の光変調器を実現することである。ZnOは圧電半導体であり,極性を有することから,ZnO/ZnMgO量子井戸のシュタルク効果を利用するには,成長面極性を制御した結晶成長が不可欠である。
本年度は,ZnOおよびZnMgOエピタキシャル膜の高品質化を図った。具体的には,c面サファイア基板上に1nm程度のMgOバッファ層を成長した後にO極性ZnOバッファを成長した。この複合バッファ層を成長後にアニールを行って,バッファ層の高品質化を行い,Gaドープn型ZnMgO層を形成した。その上にZnO/ZnMgO量子井戸層を成長した。X線回折半値幅は,従来のa面サファイア基板上の素子と比較して数分の1程度に減少し,量子井戸の品質が改善された。
紫外透明導電膜であるPEDOT:PSSとZnO/ZnMgO量子井戸のショットキ型光変調器を作製し,透過光による電界変調吸収スペクトルから,20meVのシュタルクシフトを得た。このシュタルクシフトは,逆バイアス印加とともにブルーシフトする逆シュタルクシフトであり,大きな内部ピエゾ電界の存在が明らかになった。また,透過型光変調器として波長370nm(3.35eV)において光変調動作を確認した。
以上の結果により,ZnO/ZnMgO量子井戸が次世代光ディスク用として開発が進められている350nm~400nm帯の紫外光変調器に有望であることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

c面サファイア基板上に極薄膜MgOバッファ,ZnOバッファを形成し,ZnO, ZnMgO, ZnO/ZnMgO量子井戸層の高品質化を図った。昨年度までのa面サファイア上の素子に比べてX線回折半値幅は数分の1に低減され,残留キャリア濃度も1桁減少した。また,Gaドープの最適化を行うことで結晶品質を低下させることなく10^19/cm^3台の高濃度n型ZnMgO層を実現した。
さらに,紫外透明導電膜であるPEDOT:PSSを用いたショットキダイオードにより,外部逆バイアス0~7Vで波長370nm(3.35eV)における光変調動作を確認した。また,電界変調吸収分光スペクトルから,逆バイアス印加とともに遷移エネルギーがブルーシフトする逆シュタルクシフト(20meV)を確認した。

今後の研究の推進方策

まずは,ZnO/ZnMgO量子井戸のさらなる高品質化を図り,透過型光変調器の変調度向上を目指す。また,PEDOT:PSSの形成プロセスをインクジェット法などに変更することにより,ショットキダイオードの暗電流低減および量子井戸への高電界印加を目指す。
さらに,ドライエッチング(Arスパッタ)・ウェットエッチング併用によるメサ加工により光導波路を形成する。また, 側面リークの低減のためにパッシベーション膜(SiO2, SiNx)の最適化を進める。本デバイス構造は素子面積を小さくすることで素子容量を極限まで小さくすることが可能であり,100GHz以上の超高速光パルスの生成が可能となる。また,光導波路をアレイ化することにより,超高速光パルスアレイの実現も期待される。
以上の方法で作製したデバイスの光変調特性(変調度, 変調効率, 変調速度)を評価する。これらの特性と, 光吸収スペクトルおよび理論シミュレーションとの対比により, デバイスの構造最適化を行い, 100GHz以上の超高速光変調デバイスの実現を目指す。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Growth mechanisms of ZnO(0001) investigated using the first-principles calculation2012

    • 著者名/発表者名
      K. Fujiwara, A. Ishii, T. Abe, and K. Ando
    • 雑誌名

      J. Appl. Phys.

      巻: 112 ページ: 64301

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stark effects of ZnO thin film and ZnO/ZnMgO quantum wells2012

    • 著者名/発表者名
      K. Sato, T. Abe, R. Fujinuma, K. Yasuda, T. Yamaguchi, H. Kasada and K. Ando
    • 雑誌名

      phys. stat. sol. (c)

      巻: 9 ページ: 1801-1804

    • DOI

      10.1002/pssc.201100592

    • 査読あり
  • [雑誌論文] New ultraviolet avalanche photodiodes (APDs) of organic (PEDOT: PSS)–inorganic (ZnSSe) hybrid structure2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Inagaki, M. Ebisu, M. Otsuki, N. Ayuni, T. Shimizu, T. Abe, H. Kasada and K. Ando
    • 雑誌名

      phys. stat. sol. (c)

      巻: 9 ページ: 1852-1855

    • DOI

      10.1002/pssc.201100593

    • 査読あり
  • [学会発表] ZnO/ZnMgO量子井戸のシュタルク効果による光変調動作の検証2012

    • 著者名/発表者名
      安田圭佑,山口拓也,佐藤耕輔,本山達也,阿部友紀,笠田洋文,安東孝止
    • 学会等名
      第73回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      20120911-20120914
  • [学会発表] MBE成長したN doped ZnO薄膜の精密評価 〜 高抵抗ZnO:Nの挙動 〜2012

    • 著者名/発表者名
      政本卓也,前島隆之,野田佳佑,加藤晃司,夏目 龍,松尾拓朗,廣江伸哉,秋山章雅,行衛孝明,阿部友紀,笠田洋文,安東孝止
    • 学会等名
      第73回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      20120911-20120914

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公開日: 2014-07-24  

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