研究課題
本研究の目的は, 励起子結合エネルギーの大きいZnO系II-VI族化合物半導体量子井戸における励起子効果(量子閉じ込めシュタルク効果)によって,光変調器を実現することである。まず,MBE成長により理論設計に基づいた量子井戸を作製し,光変調器の基礎動作原理である量子閉じ込めシュタルク効果を検証した。具体的には,紫外透明有機導電膜PEDOT:PSSを用いたショットキダイオードにより外部バイアス0~10Vを印加して,電界反射変調分光法により励起子遷移エネルギーのシフトを実証した。次に,ZnOおよびZnMgOエピタキシャル膜の高品質化を図るためにMgOバッファ成長の基礎技術を構築した。具体的には,c面サファイア基板上に1nm程度のMgOバッファ層を成長した後にO極性ZnOバッファを成長した。この複合バッファ層を成長後にアニールを行って,バッファ層の高品質化を行い,Gaドープn型ZnMgO層を形成した。その上にZnO/ZnMgO量子井戸層を成長した。X線回折半値幅は,従来のa面サファイア基板上の素子と比較して数分の1程度に減少し,量子井戸の品質が改善された。光変調器では,透過光による電界変調吸収スペクトルから20meVのシュタルクシフトを得た。また,透過型光変調器として波長370nm(3.35eV)において光変調動作を確認した。最後に,電解液による電圧印可により2Vという低電圧動作でシュタルクシフト16meVを得ることに成功し,低電界で大きなシュタルクシフトが得られるという理論値との整合性が確認された。以上の結果により,ZnO/ZnMgO量子井戸が次世代光ディスク用として開発が進められている350nm~400nm帯の紫外光変調器に応用可能であることを見出した。
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physica status solidi (c)
巻: Published online 28 March 2014 ページ: -
10.1002/pssc.201300602
巻: Published online 2 April 2014 ページ: -
10.1002/pssc.201300618