窒素プラズマ照射時間を0.5~8時間で作成された試料において、サファイア基板(0001)方位と同方位の(0002)AlN回折ピークが観測された。これらの試料にはサファイア基板(0001)の回折が見られるものの窒素プラズマ照射によるサファイア基板と同方位のAlN転換層が形成できた。また,断面はEPMAの窒素2次元マッピングにより窒化されたことが分かり、この結果からディール-グローブモデルによる線形関係から拡散係数は10-11㎝2/sと求まり、AlのN拡散よりも1ケタ程度速い侵入型の拡散機構ではないかと予想された。 以上の結果からサファイア基板に窒素マイクロ波を照射することにより、固相―固相エピタキシーに近い状態で侵入型の窒素拡散によりAlN転換層が形成されることが分かった。 サファイア基板(0001)C面と(01-12)R面について、窒素プラズマを照射によるAlN転換層形成を行った。C面上にはAlN転換層が形成され、XRD、EPMAにおいてAlN層の確認ができた。しかし、R面上へは、XRDにおいて基板と同方位の(01-12)面に起因する回折ピークは、認められなかった。基板に起因するピーク付近にAlNとサファイアの混晶ピークが現れた。また、表面、断面ともにEPMAでN原子の存在が確認できた。以上のことから、サファイア(01-12)面へのNプラズマ照射において、同一面内にAlとOの原子が存在するため、侵入速度が速くO原子を一部取り残した状態で転換層が形成したことが考えられた。この問題の解決には、Nプラズマ密度を大きくして照射することが考えられる。
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