研究課題/領域番号 |
23560024
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西 竜治 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (40243183)
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研究分担者 |
吉田 清和 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 特任研究員 (50263223)
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キーワード | 超高圧電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / オートフォーカス / 鮮鋭度 / 自動撮影 |
研究概要 |
超高圧電子顕微鏡を用いた電子線トモグラフィーは医学・生物学系の立体観察に用いられている。撮影は試料の傾斜角度を変えた像を数十枚から百数十枚もの画像を取得する必要があり、撮影の自動化が求められている。試料の傾斜に伴い観察視野やフォーカスがずれるので1枚1枚撮影の際には補正が必要である。フォーカスのずれに対し、本研究ではオートフォーカスの技術開発を進めてきた。これまで高解像度のCCDカメラの撮影像に対し、フォーカスを少しずつずらした画像を撮影し、そのフォーカスの合い具合を鮮鋭度という評価値で与えた。これを元に、より高速なハイビジョンカメラ像から鮮鋭度を評価する手法を検討した。ハイビジョンカメラ像はCCD像に比べ、解像度が4分の1と低く、ノイズが多いという欠点があるが、数枚から数10枚積算することでS/Nを向上させた。1枚を短時間に撮影できることから、フォーカスをずらした画像をより多く(10種類程度)とることで、オートフォーカスに使える程度の鮮鋭度の値を得ることを確認した。 超高圧電子顕微鏡の動作を外部プログラムから制御するためのプログラムの開発中である。具体的には対物レンズの電流値、試料傾斜角度、視野の位置などを別PCから制御し、鮮鋭度の評価値を元にオートフォーカスを行い、電子線トモグラフィーの自動撮影することを目指し、部分部分でプログラムの動作テストを行った。画像取り込みから鮮鋭度の計算して実際にフォーカスを変えるために対物レンズ電流を補正する一連の流れを作製している。現状では鮮鋭度を計算する際にフォーカスの違いによる僅かな位置ずれは補正していないが、補正が必要な場合があることが分かった。また、対物レンズの応答時間速度を画像計測から求めた。サブ秒のオーダーまで高速化するにはレンズ応答を考慮したアルゴリズムが必要なことが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鮮鋭度からオートフォーカスを行えるように、ハイビジョンカメラからの画像を直接コンピュータに取り込み、鮮鋭度計算を進められるようになった。また、超高圧電子顕微鏡の外部制御についても目処を立て、プログラムの作成を進めている。また、フォーカスの際の時間応答特性の評価を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
ハイビジョンカメラ像から鮮鋭度を計算し、それを元に対物レンズの制御にフィードバックさせる制御プログラムを完成させる。鮮鋭度の計算に先だっての位置補正の導入し、計算精度の向上を図り、対物レンズ応答の評価を利用して、高速なアルゴリズムの開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたLab Viewの購入をとりやめたため、24年度の研究費に未使用額が生じたが、25年度にプログラム開発用のPCおよび開発ソフトウェアを購入し、対物レンズの応答と鮮鋭度の計算を通して、オートフォーカス制御の研究を実施する。
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