研究課題/領域番号 |
23560026
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
牧野 久雄 高知工科大学, 総合研究所, 准教授 (40302210)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 多結晶薄膜 / ミクロ構造制御 / 電気伝導特性 / 酸化亜鉛 |
研究概要 |
初年度となる平成23年度は、反応性プラズマ蒸着法におけるドーピング特性評価実験のための実験設備の補強とともに、多結晶ZnO薄膜における薄膜ミクロ構造特性、電気伝導特性に対する酸化物ナノシートシード層の効果と影響について検討した。反応性プラズマ蒸着法による多結晶ZnO薄膜の成膜では、酸化物ナノシートを付与したガラス基板上での成膜とガラス基板上に直接成膜した場合とを比較しながら、結晶構造、薄膜ミクロ構造特性、電気伝導特性の評価を行った。薄膜ミクロ構造特性では、酸化物ナノシートをシード層として用いることにより、c軸配向性の向上と結晶グレインサイズの増大が確認された。また、結晶構造では、ガラス基板上での圧縮歪に対して、酸化物ナノシート上での引っ張り歪が膜厚増大に伴い緩和する様子が観測された。そして電気伝導特性では、酸化物ナノシートシード層の導入によりホール移動度が増大することが分かった。多結晶ZnOでは、膜厚の増加に伴いホール移動度が増大することが分かっているが、膜厚100nm程度では、膜中の欠陥濃度も膜厚とともに変化することから、電気伝導特性を決定づけるキーパラメータの抽出が難しい。酸化物ナノシートによって制御された薄膜ミクロ構造と電気伝導特性との相関を詳細に調べることによって得られる本研究の知見は、多結晶ZnO薄膜の電子デバイス応用上重要な知見となる。また、次年度以降の研究実施に向けて、反応性プラズマ蒸着法によるドーピング実験のための新たなガス導入ライン、成膜中のプラズマ状態モニタとその解析のためのソフトウェアを整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、酸化物ナノシート表面処理の効果を検討し次年度以降の配向制御につなげる予定であったが、その薄膜評価において進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた薄膜ミクロ構造特性と電気伝導特性との相関を理論的な考察も含めて解明するとともに、酸化物ナノシートシード層を用いた配向制御と初年度に整備した実験設備を用いたドーピング実験を当初計画通りに推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
酸化物ナノシート表面処理効果に関する薄膜分析費用が次年度に繰り越しとなった。次年度は、材料費、消耗品費、成果発表旅費とともに、研究の進捗に合わせて繰り越した分析費を使用する。
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