研究課題
本研究では、シリコンをベースとする光回路(シリコンフォトニクス)として、新規な大面積立体構造を実現し、新たな機能の創出を試みることを目的とした。このため、従来よく用いられてきた結晶シリコン(c-Si)に代わり、アモルファス・シリコン(a-Si)膜を基本とした構造に着目し、その構造設計、作製プロセス、素子作製、および素子評価を総合的に検討した。本課題の全期間における研究結果を以下に纏める。(1)スパッタリング法で作製したa-Si膜のたわみ量が、スパッタ時のウエハ基板温度とアニール温度によってどのように変化するかを詳細に検討し、20μm角の大面積エア・ブリッジ型スラブ構造を、a-Si膜を用いて実現することができた。(2)a-Siからなる細線導波路の上にSiO2層を介し、a-Siからなるグレーティング層を形成して、2層構造の立体光回路を実際に作製し、出射光の波長依存性と偏光依存性を詳しく調べた。その結果、シミュレーションによって予測した特性が、再現性良く作製した構造で得られていることが分かり、立体光回路という概念を検証することが出来た。(3)発光層を有する立体光回路実現の基礎検討として、発光層としてのβ-FeSi2層の上に、SiO2層を介して、a-Siからなる細線導波路を形成し、方向性結合器型の立体構造発光デバイスを作製した。このデバイスでは、a-Si導波路に波長1.3 µmの光を入射すると、波長1.5 µmの光が、わずかではあるがa-Si導波路の反対側から出射することが分かり、β-FeSi2層からの発光が、a-Si導波路を介して得られたことを明らかにした。以上示したように、本課題の研究の結果、a-Si膜を基本とした構造により、立体光回路を含む多様な光回路が実現できることを明らかにした。
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