研究課題
本研究の目的である「低消費電力、薄型大面積の安定で長寿命な真空紫外発光素子の開発」を目指し、真空紫外蛍光体の薄膜化技術開発とこれを用いた電界電子放出型発光素子開発研究を進めた。前年度のカリウムマグネシウムフロライド（KMgF3）薄膜の作製に続き、紫外発光素子の蛍光体に用いるため、ネオジウムイオンを添加したフッ化ルテシウム薄膜（Nd3+:LuF3）を作製した。この材料は真空紫外発光が確認されており、KMgF3と同程度かそれよりも高い量子効率が報告されている。しかし融点より低い温度で相転移が起こるため、単結晶や薄膜成長が難しいため、我々は、パルスレーザー堆積法を用い基板温度と照射レーザーの条件を制御することで、フッ化マグネシウム基板上に相転移に起因する亀裂の少ない薄膜作製を実現した。この薄膜からは、真空紫外領域にある180nmをピークとする電子線励起発光スペクトルを観測している。次に、この薄膜を蛍光体とし、カーボンナノファイバーを電子源とする発光素子の実証実験を行った。カーボンナノファイバーは、グラフェン基板にアルゴンイオンを照射する手法を用いて作製した。この素子からも、上記したNd3+:LuF3からの電子線励起発光スペクトルと同様の真空紫外発光が得られた。さらに、この素子の電子の引き出し電圧及び加速電圧を変化させた際の動作特性についての評価を行い、KMgF3薄膜を蛍光体として用いた場合と同程度の出力を確認した。
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APL Materials
巻: 2 ページ: 046110
Optical Materials
巻: 35 ページ: 2329-2331
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