研究概要 |
撮像素子における複素振幅分布が既知の光波を参照光として用いる.この参照光と物体光を干渉させホログラムを記録し,隣接する4 画素に注目する.本手法では物体光の振幅値と位相値は4 画素間で等しいと仮定し,それぞれao, φoとする.一方,参照光の各画素における振幅値はar1, ar2, ar3, ar4とし,位相値はφr1, φr2, φr3, φr4とする.このときの各画素におけるホログラムの強度値をI1, I2, I3, I4とする.I1, I2, I3, I4は既知であるar1, ar2, ar3, ar4, φr1, φr2, φr3, φr4と未知であるao, φoを含んでいる.I1, I2, I3, I4の連立方程式を解くことによりao, φoを算出する.本研究ではこの算出アルゴリズムを改善するとともに,再生画像が得られない条件を明らかにし,算出されたaoに対してメディアンフィルタを適用することにより改善できることを示した. 一方,参照光に用いるランダム位相光はレーザー光を拡散板に透過させることにより作製され,その光波は撮像素子面においてスペックルパターンを形成する.したがって,スペックルの平均直径を画素サイズに一致させた光波が参照光として適していると考えられる.隣接する画素間で位相が異なり,位相シフト量が発生するためである.一方,個々のスペックルが複数画素にまたがる光波は参照光に適さないと考えられる.隣接する画素間で位相が等しく,位相シフト量が得られないためである.また,個々のスペックルが画素サイズよりも小さい光波も参照光に適さないと考えられる.実験的な評価により,スペックルの平均直径が2~3画素のときに画質がもっとも高くなり,平均直径がそれよりも小さい場合も大きい場合も画質が劣化することを明らかにした.
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