研究課題/領域番号 |
23560051
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
笠井 克幸 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所ナノICT研究室, 主任研究員 (90359084)
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研究分担者 |
張 贇 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00508830)
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キーワード | 量子エレクトロニクス / レーザー / 光パラメトリック発振器 / 量子相関 |
研究概要 |
光パラメトリック発振器はパルス発振の領域において幅広い応用分野で利用されてきたが、CW(連続波)においては安定でチューナブルな発振を得ることが非常に困難であった。本研究では、3波共鳴型の差動複合共振器構造により、高効率でチューナブルなCW発振を得ることを目的としている。本年度は、疑似位相整合結晶のPPKTP結晶を用いて差動複合共振器構造の光パラメトリック発振器の設計製作を行った。用いているポンプ光パワーに対して共振器出力ミラーの透過率設計が最適でなかったために発振が得られなかったが、さらに透過率を下げることにより発振しきい値が下がり発振を得ることができると考えられる。共振器の制御に関してはPound-Drever-Hall法だけで複合共振器を安定化することが困難なことが分かり、ディザリング法を組み合わせた方法の検討を行った。また、ポンプ光光源のパワーが不十分であるため、外部共振器とPPKTP結晶を用いたSHGによる高出力のポンプ光光源を開発し、1.2Wの安定なポンプ光パワーが得られた。この成果については、Optics Communicationsへ論文投稿を行い掲載可となった。3波共鳴型差動複合共振器構造の光パラメトリック発振器のアイデアに関しては、国内特許を取得することができた。関連して、PPKTP結晶とデュアルポート型SHG共振器による量子相関をもつ光子数スクイーズド光子対ビームの生成について検討と実験を行い、実験においてスクイージングと量子相関が観測されたので学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共振器出力ミラーの透過率設計値が最適でなかったと考えられ、差動複合共振器構造での光パラメトリック発振が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
複合共振器ミラーの設計値が最適でないと考えられるので、共振器出力ミラーの透過率を下げるなどの変更を行う。さらに発振が得られない場合は、ポンプ光を高出力の光源に変更して実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度末に研究分担者と研究打ち合わせを行う予定であったが、日程上困難となった。そのための旅費を繰り越し、次年度の研究打ち合わせに使用する計画である。
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