研究概要 |
本研究の第一の目的は、フレキシブルで薄いセンサを開発することであった。前年度までに厚さ2mmのセンサを作製しており、本年度の主たる目標としては、シミュレーションによる設計指針の確立、および加工精度の向上によるさらなる薄型化を実施することであった。また、可能であれば応用計測に着手することであった。これに対し、以下の様な対応と結果が得られた。 数値シミュレーションでは、3D有限要素法を用いたシミュレーションを行った。具体的には、センサを構成する部材の機械的特性を用いた構造変形のシミュレーションを行った後、さらにセンサ内部の電流密度を計算するという2段階のシミュレーションを行った。これによりセンサを構成する2枚の電極基板を貼り合わせるときの位置ずれの影響などを評価した。 加工精度の向上に関しては、まずカッティングプロッタによるセンサ材料(PETフィルムやゴム板など)の加工を試みたが、期待した精度の向上にはまだ至っていない。別の観点から加工精度を向上させるために、自作により簡易アライナーを作製した。その主要部品には、XYZθステージを用いた。これは、2枚の基板を高精度で位置合わせしつつ貼り合わせるためのものである。すなわち、上下2枚の基板を数mmの間隔で向かい合わせ、顕微鏡下で片方の基板をX, Y, θ(水平回転)方向に操作して他方の基板の直下に精密に移動させ、最後にZ軸方向に動かして2枚の基板を密着させるものである。 結果として、薄くて小型のセンサの試作には成功したが(厚さ0.8mm、配線パターンを除いた正味のサイズとして直径約16mm)、加工精度の向上と言うよりはこれまでのセンサ構造を見直してよりシンプルな構造にすることで実現した。 その他、マイクロプロセッサの利用による回路の一層の小型化と、せん断力センサと同様の加工プロセスによる温度センサの開発も行った。
|