研究課題/領域番号 |
23560074
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
吉野 隆 東洋大学, 理工学部, 准教授 (60269496)
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キーワード | プランクトン / 数値流体力学 |
研究概要 |
球に近い形状をもつ放散虫やふたつの主刺をもつ放散虫(パンタネリウム)の形態の多面体幾何学的な特徴を解析する方法が確立した.マイクロX線CTで取得したプランクトンの骨格データをもとに作成した3D模型を観察して,その幾何学的な情報を平面グラフに落としこむことによって,より詳細な形態の記載に成功している.この方法を用いることで,より実践的な海洋プランクトン周辺の流体場の数値シミュレーション方法が確立しつつある.成果の一部として昨年3月に国際会議で発表した内容は,論文として古生物学の国際誌に投稿中である.その後の発展については,学会発表を行なっている(例えば,「中生代放散虫パンタネリウムの外層殻を構成する殻孔枠数の多様性」).本研究の進展によって,これまでは全く明らかにされなかったパンタネリウムの骨格構造の詳細が解明された.さらに,この情報を効率よく流体解析ソフトと連携するための手法を検討している. これと並行して紡錘状の放散虫ミリフススについて,流れ場シミュレーションを行っている.進化とともにその外形を変化しているが,この外形の変化によって流れ場に乱流が発生しづらくなっていることが明らかになった.紡錘形の放散虫についても,放散虫周辺の流れ場についての数値シミュレーション手法が確立したと考えている. これらと並行して,実際の流体実験による検証を行うべく,模型作成の作業を開始した.現在は試作品製作を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度および平成25年度の目標は,「絶滅した種について,その生態や絶滅した理由を推定することができるようになる」と「実際の骨格データを用いたメッシュ生成法および数値計算法が確立され,3次元データが取得可能なすべての対象に対して同様の計算が可能になる」であった.前者は平成25年度の課題として残っているが,後者については一部の放散虫についてではあるが,ほぼ確立できたと言って良い.手法が更に広い範囲で適用可能になるような仕組みを完成できなかった点で,「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
次年度繰越が発生したのは,スケジュールの都合で研究発表の機会を得ることができなかったためである.今年度は研究発表の機会を増やし,これまで得られている成果を公表していく予定である. 今年度はより計算手法を一般化するための技術を開発する一方で,流体実験による検証を行うべく模型の準備をしていくことを考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
6月に最新の研究成果の発表をオランダで行う予定である.また模型製作のために必要な3Dプリンタの消耗品を購入する予定である.これまで同様,研究補助のためにアルバイトを雇用する.
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