研究課題
自動車製造においては開発コストの低減や開発期間の短縮のみならず,自動車の衝突安全性と信頼性確保のための性能予測に幅広くCAE技術が活用されており,CAEにおける実現象の再現性向上が重要となっている. テーラード・ブランク溶接,スポット溶接やボルト締結の接合部の破断は車両の耐衝突性能に大きく影響する.CAE技術による衝突シミュレーションや性能予測を精度よく行うためには,テーラード・ブランク溶接部やスポット溶接部の衝撃変形強度のほか,ボルト締結部の衝撃破損・破断の正確な評価が必要である.ボルト締結体の使用に関しては,ボルト自体の強度,緩みやトルク管理については膨大な研究がなされているにも拘わらず,自動車の衝突安全設計を行うために重要なサスペンションフレームのボルト締結部の被締結鋼板側の衝撃破断メカニズムやその強度評価等の研究はほとんど見当たらない.軽量化を図りかつ衝撃強度信頼性の向上も図るために必要とされる自動車の衝突シミュレーションを精度よく行うためには,各構造部材の溶接部のみならずボルト締結鋼板の衝撃破損・破断の正確な評価が重要である.自動車のサスペンションフレームのボルト締結部位の被締結鋼板の衝撃破損・破断は,ボルト軸に対して垂直に配される被締結鋼板の面内方向に作用する衝撃荷重によって生ずる.本研究ではボルト締結体の衝撃荷重下における被締結部材の変形強度および破損・破断に関して,衝撃実験および数値シミュレーションよりボルト被締結鋼板の破損・破断のメカニズムの解明を行って被締結鋼板の破断基準の構築を行った.研究結果は,ボルト締結された被締結鋼板の衝撃破断に関して,応力表示によるエネルギー形式の破断基準構築の可能性を示し,ボルト被締結鋼板の衝撃破断の一つの評価基準を提示した .
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日本材料強度学会誌
巻: Vol.46,No.4 ページ: pp.69-77
Journal of Physics: Conference Series
巻: 451 (2013) 012007 ページ: pp.1-6
10.1088/1742-6596/451/1/ 012007