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2011 年度 実施状況報告書

農業系副産物の天然構造を利用した電磁遮へい・吸収材料の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 23560080
研究機関山形大学

研究代表者

飯塚 博  山形大学, 理工学研究科, 教授 (90142215)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード農業副産物 / 炭素粉体 / 電磁波遮へい性 / プラスチック複合材料 / 抄紙法
研究概要

平成23年度は,もみ殻や大豆皮等の農業系副産物を900℃窒素雰囲気中で炭化焼成し,得られた焼成粉体を,プラスチック繊維や補強繊維と水中混合し,抄紙法に基づいて複合材料を作製した.その後,その複合材料の電磁波遮へい性について検討し,以下の成果を得た. (1)焼成粉体,プラスチック繊維および補強用繊維を水中撹拌する際に,界面活性剤等を適宜使用することにより,分散性の良い複合材料を製造することができた. (2)その際に,未粉砕片,粗粒粉体,および微粉砕粉体を用いて,複合材料の製造及び電磁波遮へい特性の測定を行った.その結果,電磁波遮へい性としては未粉砕試料で性能が最も高くなった.ただし,今後の実用化を念頭に,粗粉砕粉体を用いた複合材料の製造が適切であると判断した. (3)電磁波遮へい性の目標値として,当初80dBを設定していた.そして,その目標値はどの粉体を用いても達成できることを確認した. (4)ターゲットとしている周波数帯は100MHz~2GHzとしていたが,さらに低周波数の領域でも用途が期待できることが分かり,kHzオーダの領域での電磁波遮へい性についても検討していくこととした. 高周波数域で安定した電磁波遮へい性を確保するには,本研究で提案している炭素粉体に,金属繊維を多少混合すると有効であることを確認した.金属繊維の使用に際しては,重量や価格に大きく影響してくることから,今後,最適な配合比率を検討していくことが求められてくる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成23年度は,大学と連携企業間の意思疎通および試験実施者の派遣がスムーズに展開でき,計画以上の成果が得られた.とくに,研究室の学生が連携企業に長期インターンシップで派遣できたこと,連携企業と定期的に打ち合わせ会を企画・実施できたことから,研究が大きく進展した.

今後の研究の推進方策

平成24年度以降は,もみ殻や大豆皮等の炭化焼成粉体とプラスチック繊維や補強繊維のみでなく,安定した電磁波遮へい性を広い周波数域で達成するために,金属繊維をある程度の割合で混合した複合材料を製造していき,最適組成の材料を求めていくことが良いと考えられる.そこで, (1)電磁波遮へい性の基になる物性値である誘電特性を測定して,素材の基本的な特性を十分に把握していく. (2)焼成粉体,プラスチック繊維,補強用繊維に加えて,金属繊維をどの程度の比率で混合すると良いかを判断する. (3)具体的に実車に搭載することを念頭に置いた大型の試料を製造する手法を連携企業と共同で検討していく. (4)さらに,電磁波遮へい性とともに重要な電磁波の吸収性についても基本特性の評価を進めていく.今後とも,粉体製造の三和油脂および複合材料製造の旭有機材工業と連携を深めて,協議しながら研究を遂行していく.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の研究費の使用計画は,当初の計画通りである.物品費, 700,000; 実験遂行上必要になる消耗品旅 費, 200,000; 学会参加費および研究支援者のもとで実験遂行のため人件費, 200,000; 研究補助者への謝金 その他, 200,000; 測定依頼である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (8件)

  • [学会発表] 農業系副産物を利用した多孔質炭素材料の摺動特性2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木翼,兼岩敏彦,森本卓也,飯塚博
    • 学会等名
      日本機械学会東北支部
    • 発表場所
      東北大学工学部
    • 年月日
      2012年03月13日
  • [学会発表] 農業系廃棄物を利用した電磁波遮蔽材料の開発2012

    • 著者名/発表者名
      塩野目貴稔,後藤浩之,高橋武志,金谷知之,飯塚博
    • 学会等名
      日本機械学会東北支部
    • 発表場所
      東北大学工学部
    • 年月日
      2012年03月13日
  • [学会発表] 植物非食部を利用した機能性材料の開発2012

    • 著者名/発表者名
      飯塚博
    • 学会等名
      社団法人山形県産業廃棄物協会
    • 発表場所
      ヒルズサンピア山形
    • 年月日
      2012年02月02
  • [学会発表] カカオ皮焼成シート材の電気的特性2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤一樹,高橋武志,後藤浩之,兼岩敏彦,飯塚博
    • 学会等名
      第21回日本MRS学術シンポジウム
    • 発表場所
      横浜市開港記念会館
    • 年月日
      2011年12月20日
  • [学会発表] 植物由来の成分に酸化マグネシウムを加えた農業用抗菌資材の開発2011

    • 著者名/発表者名
      栗田幸秀,野田博行,飯塚博
    • 学会等名
      第21回日本MRS学術シンポジウム
    • 発表場所
      横浜市開港記念会館
    • 年月日
      2011年12月20日
  • [学会発表] 籾殻焼成粉体を配合したゴム系複合材料の機械的及び電気的特性2011

    • 著者名/発表者名
      千葉俊吾,安藤一真,金谷知之,飯塚博
    • 学会等名
      日本機械学会東北支部
    • 発表場所
      山形大学工学部
    • 年月日
      2011年09月22日
  • [学会発表] 籾殻焼成材の海水浸漬における圧縮強度への影響2011

    • 著者名/発表者名
      遠藤海,田澤大季,飯塚博,宍戸道明,渡部誠二
    • 学会等名
      日本機械学会東北支部
    • 発表場所
      山形大学工学部
    • 年月日
      2011年09月22日
  • [学会発表] 籾殻焼成紛体を配合したプラスチック複合材料の機械的特性及び電気的特性2011

    • 著者名/発表者名
      古川晃,浅野淳,高橋武志,飯塚博
    • 学会等名
      第21回日本素材物性学会年会
    • 発表場所
      秋田ビューホテル
    • 年月日
      2011年06月28日

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公開日: 2013-07-10  

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