籾殻・大豆皮等の植物非食部を炭化焼成して得られる炭素粉体を用いたプラスチック複合材料の電磁波遮蔽・吸収性材料としての可能性について検討した.電磁波遮蔽性については,複合材料の導電性と良い相関があり,有意に材料設計が可能になった.電磁波吸収性には炭素粉体の粒径,粉体配合率,試料厚さ,導電性等が複雑に影響した.したがって,それらの最適な組み合わせを合理的に決定できる手法の確立が求められる.本年度は,電磁波の無反射曲線を求めて,その特性を用いた粉体配合量と試料厚さの決定法について検討した.その結果,以下の結果が得られた. (1)各粉体を用いた複合材料の無反射曲線を求めることができた.(2)各素材ごとに無反射曲線上に乗る試料厚さと配合量の組み合わせを求めることができた.(3)得られた材料条件に基づいて吸収体を製造したところ,20dBを超える電磁波吸収を示すことが確認できた. 以上の結果から,やや導電性が低い籾殻焼成粉体を用いて吸収体を製造した方が優位な場合と,導電性が高い大豆皮焼成粉体が優位な場合があり,使い分けることが可能なことが分かった.
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