研究課題
本研究では、量子ドット型多層膜太陽電池に発生するひずみを高精度に予測する解析技術の開発を目的とした。電池の作成過程に関しては、量子ドット型多層膜太陽電池を構成する候補材の結晶界面近傍のひずみに及ぼす異種原子結合の影響を、歪誘起ポテンシャル変化に注目して、定量的に明らかにした。光-電気エネルギー変換過程に関しては、結晶のひずみによってエネルギーバンドが変化することの逆過程として、結晶中の価電子が光のエネルギーを吸収して励起状態になる際に電子状態の変化に起因して発生する格子ひずみを評価する理論的枠組みを調査・整理した。原子論的な取り扱いにおいて明らかにしたそれぞれの効果を連続体の力学に組み込み、ひずみ誘起ポテンシャル変化と光エネルギー吸収起因ひずみを考慮可能な界面モデルを、界面弾性係数の定義およびeigenひずみ型非弾性ひずみを定義することにより、開発した。開発した界面モデルを用いて、量子ドット型多層膜太陽電池のひずみシミュレーションを行い、ひずみ解析結果に基づく発電効率最適化に対する指針を提案した。平成25年度においては、主に界面部の原子結合の連続体によるモデル化を行った。第一原理計算で得られた界面近傍の特性をマイクロメカニックスの手法(界面連続体モデルやeigen歪等の非弾性歪法)を用いて連続体力学に導入する方法をひずみ解析に応用した。界面部のひずみ応答については、界面弾性係数を用いてモデル化した。第一原理電子状態計算結果から界面弾性係数を算出する方法を開発した。ひずみ誘起ポテンシャル変化については、巨視的、均一な結晶におけるBir-Pikus理論を界面部に応用する方法を開発した。光吸収による格子歪発生については、eigen歪法を応用した新たな非弾性歪を用いる方法を開発した。開発したモデルを、三次元無限体中の球状介在物問題に適用し、その有効性を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
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