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2012 年度 実施状況報告書

ステライト代替材料としての耐キャビテーション材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560084
研究機関福井大学

研究代表者

服部 修次  福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00143933)

キーワードキャビテーション / 壊食 / 表面被覆材 / TiNi合金
研究概要

本研究計画では,肉盛材料のキャビテーション壊食に及ぼすNi下地肉盛の効果について検討し,次いで,成分調整しやすいように,純チタン,純ニッケルの金属粉を用いて肉盛材の作成を試み,優れた耐壊食性が得られる最適成分比及びその後の熱処理の効果を検討することを主眼としている。平成23年度は,主に肉盛材料のキャビテーション壊食に及ぼすNi下地肉盛の効果について検討した。Ni下地肉盛層は,TiNiの表面層と母材の熱膨張率の違いによる熱割れを防ぐために必要な肉盛層である。母材はSUS304,下地肉盛材料は純ニッケル粉を使用し,上面にはTiNi形状記憶合金粉体を使用した。肉盛材の被覆は本研究室に現有しているプラズマ粉体肉盛溶接装置を使用し,プラズマアーク粉体(PTA)肉盛法を用いて施工した。肉盛材を試験片形状に機械加工したのちASTM G32に規定されている磁歪振動装置を用いて静置試験片法でキャビテーション壊食試験を行って下地肉盛材の最適被覆厚さを検討し,Ni下地肉盛厚さとしては2mm~3mmが施工上適切であることを見出した。平成24年度は,耐キャビテーション壊食性を向上させるために,純Ti粉及び純Ni粉を用いて,各種の割合(Ni濃度40%,50%,60%,70%,80%)で混合させた肉盛材料を使用して表面被覆を行い,耐壊食性を評価する。前年度と同様のキャビテーション壊食試験装置を用いて壊食量の経時変化を測定し,各材料の耐壊食性を評価した。この結果,以下の結論が得られた。①ほとんどのTi-N合金肉盛材は,母材のSUS304よりも耐壊食性が優れている。②この中でもTi40at%-Ni60at%肉盛材料が他の成分の肉盛材料よりも優れている。③優れた耐壊食性は材料の高硬度に基づく。④TiNiとTiNi3の混合の微視組織が耐壊食性に最適である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成24年度の研究計画では,純Ni粉を用いて下地肉盛を行い,その上に,純Ti粉と純Ni粉を各種の割合で混合させた肉盛材を用いて試験片を作成してキャビテーション壊食試験を行い,キャビテーション壊食速度に及ぼす化学成分の影響に関する検討を重点項目にし,100%実施することができた。平成23年度及び平成24年度に得られた成果を,平成24年5月25日に開催されたターボ機械協会第67回総会講演会と平成24年9月9日~12日に金沢大学で開催された日本機械学会年次大会講演会にて研究発表及び研究討論を行い,今後の研究の推進に役立てることができた。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進の方策としては,耐キャビテーション壊食性をさらに向上させることを主眼とする。キャビテーション壊食試験片は、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304の母材に加熱割れ防止のため純Ni粉体で平成23年度に得られた最適の厚さ2~3mmで下地肉盛を作成する。純Ti、純Ni混合粉の混合比率は形状記憶効果を示すTi50at%-Ni50at%を基準に純Ti粉と純Ni粉の混合粉を用いてプラズマ移行アーク粉体(PTA)肉盛法を施した材料を用いる。試験片作成後に熱処理を施し,熱処理によってどの程度耐壊食性が向上するか検討する。また,本研究室に設置している肉盛装置だけでなく,純Tiと純Niの混合粉をアーク炉で溶解して鋳造材を作成して肉盛材の結果と比較検討を行う。試験装置には,磁わい振動装置を用いて壊食試験を行い,質量減少量の継時変化を測定する。さらに,金属粉の形状観察や大きさの測定,分布の採取及び肉盛材の表面観察には,電子顕微鏡(SEM)(JEOL、 JSM-6510)を用いて観察し,壊食機構について検討する。

次年度の研究費の使用計画

大型装置類は、平成23年度に購入している。平成25年度予算は直接経費40万円,間接経費12万円であり、研究費の使途としては、肉盛試験片母材のSUS304板材や、肉盛試験片作成後に表面を研磨するための研磨紙などの消耗品の購入に充てる。また、学会発表を予定しており、旅費に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Ti-Ni混合粉肉盛材のキャビテーション壊食に及ぼす化学成分及び熱処理の影響2012

    • 著者名/発表者名
      服部修次,周天虹,瞿超
    • 学会等名
      日本機械学会2012年度年次大会
    • 発表場所
      金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      20120909-20120912
  • [学会発表] 純金属粉を用いたTi-Ni混合粉肉盛材のキャビテーション壊食

    • 著者名/発表者名
      服部修次,瞿超
    • 学会等名
      第67回ターボ機械協会総会講演会
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所

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公開日: 2014-07-24  

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