研究課題/領域番号 |
23560086
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩本 剛 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40274112)
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キーワード | TRIP鋼 / 相変態 / 衝撃エネルギー / 時間的階層性 |
研究概要 |
対象とする巨視的現象が高速になると,時間スケールが小さくなり,それに付随する物理現象との時間的階層性によって,巨視的に現れる現象が大きく変化する可能性を秘めている.TRIP鋼は,塑性ひずみを加えることによって発生する,ひずみ誘起マルテンサイト 変態を伴って優れた衝撃エネルギー吸収(以下 IEA)特性を持つと言われている.TRIP鋼の変形挙動は負荷速度に起因する時間スケールに依存し,付随する相変態と温度場における時間スケールと複雑に相まって,優れたIEA特性を示すと考えられるが,未だそのメカニズムは明らかになっていない.そのため,本研究では,TRIP鋼の時間的階層性を明らかにし,IEA特性が向上するメカニズムの解明を目的として,本年度は以下を実施した. 前年度の結果を踏まえて,TRIP鋼の衝撃エネルギー吸収特性を評価するため,衝撃負荷下における破壊靱性値を評価し,そのマルチ時間スケール性を実験的に明らかにすることを試みた.さらに,TRIP鋼のIEA特性を評価するために,分割式ホプキンソン棒法に基づいた衝撃3点曲げ試験装置を過去の文献に従って,新たに試作し,衝撃負荷下におけるIEA特性を調査し,保有の材料試験機と併せてIEAの時間スケール依存性を検討した.また,TRIP鋼が延性材料であることから,以下の対象となる破壊力学パラメータは J 積分である.試作した試験装置を用いて,過去の文献等を援用して動的なJ積分の測定を試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無理のない計画と特段研究の遂行に問題がなかったことによる.
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今後の研究の推進方策 |
既に提案しているモデルを用いて,前年度に実施した試験の有限要素シミュレーションを行ない,実験事実と併せて時間的階層性によるTRIP鋼のIEA特性向上のメカニズムを解明する.以前,衝撃平面ひずみ引張りにおける変形挙動や静的モードI負荷下における停留き裂と直進き裂進展挙動に及ぼすマルテンサイト相の影響を検討した結果である.このノウハウを適用すれば,衝撃負荷における停留き裂と直進き裂進展挙動が及ぼすマルテンサイト相の影響を検討可能である.
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで得られた成果を公表するために,学会発表や論文投稿,ならびに報告書作成に600千円計上する.
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