本研究では関節の解剖学的構造と生理学的力学負荷を再現した軟骨内力学・電気化学連成挙動の動態解析手法の確立を目的とした。まず膝関節の有限要素モデルを構築し、接触解析手法の改良を行った。また、実測による歩行動作及び床反力のデータを用いて、筋骨格系逆動力学解析手法により関節内筋力を推定し、より合理的荷重境界条件を関節有限要素解析に与える手法を確立した。さらに、関節軟骨の異方性と不均一性を考慮した力学・電気化学連成解析を行い、軟骨の異方性は軟骨内の応力、歪み、間質液及びイオン流れの分布に影響を及ぼすことを確認し、軟骨変性を想定した物性変化による影響を検討した。
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