研究課題/領域番号 |
23560096
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
荻原 慎二 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70266906)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 炭素繊維強化プラスチック / ガラス繊維強化プラスチック / 複合材料 / 界面強度 / 微視的損傷 / 界面はく離 / 破壊クライテリオン / 単繊維モデル複合材料 |
研究概要 |
軽量・高剛性・高強度の特徴を有する連続繊維強化積層型複合材料・構造のより効果的設計法構築の基礎のため,微視破壊クライテリオン(マイクロフラクチャクライテリオン)をベースとした損傷発生・進展挙動予測手法を確立することを目的としている.すなわち,繊維,マトリックス及び界面それぞれの破壊クライテリオンを実験的に明らかにし,それらとプライレベルの損傷発生・進展挙動の関係を検討し,プライレベル損傷発生・進展挙動予測手法を確立する.それにより,安全側に設計せざるを得なかった本材料の設計手法をより材料の特性を生かしたものへと進歩させることが可能であると考えられる. 平成23年度は,初年度として,単繊維とマトリックス樹脂とを組み合わせた試験片を用いて,1.フラグメンテーション試験,2.マイクロボンド試験,3.Cruciform試験を行い,界面特性の評価,また界面破壊クライテリオンの実験的評価を行った.フラグメンテーション試験では,単繊維を引張方向に埋め込んだ試験片に対し引張試験を行い,繊維多重破断を起こさせ,その破断プロセス,および最終多重破断状態から,繊維強度分布や繊維―マトリックス界面特性(界面応力伝達性やはく離強度)を推定した.マイクロボンド試験では,繊維にマトリックス樹脂の液滴を付着・硬化させ,繊維引き抜きを起こさせることで,界面せん断応力を求めた.また,Cruciform試験は,引張方向に垂直に繊維を埋め込んだ試験片を使用するが,自由縁での応力の特異性をさけるために試験片を十字架型にする方法である.これにより界面引張強度を測定した.さらに,繊維を引張方向に垂直にするだけではなく,任意の角度傾けた方法を開発し,組み合わせ応力下での界面破壊クライテリオンを求める手法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた単繊維モデル複合材料を用いた界面強度評価・界面はく離発生クライテリオン構築について一定の成果を得たため.
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今後の研究の推進方策 |
CFRP一方向強化積層板,数種の多方向積層板(クロスプライ積層板,アングルプライ積層板,擬似等方積層板)を作製し,種々の面内負荷,面外負荷を与え,変形挙動,損傷発生・進展挙動,強度特性を得る.自作その場観察用負荷装置(光学顕微鏡などに装着し損傷進展プロセスをその場観察する)を用い,あるいは,必要に応じて試験機から取り外し,光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡,軟X線探傷装置を用いた損傷状態の観察を行い,負荷レベルと損傷状態の関係を実験的に明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験のための材料及びジグの製作費,また成果発表のための国際会議出張旅費を計上している.
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