研究課題
マイクロ金属粉末射出成形(μ-MIM)の高精度・高集積化を阻んでいる製造上の課題を克服するため,ナノインプリント犠牲樹脂型インサート金属粉末射出成形(NIL/μ-SPiMIM)法を世界に先駆けて開発してきた.本研究は,この犠牲樹脂型の製造に用いたナノインプリント法の製造限界(幅5μm,高さ10μm,アスペクト比=2)を超える可能性のある新しい犠牲樹脂型製造法として,エレクトロスピニング(ES)ナノファイバによるインプリント(NFI)樹脂型の製造法を提案した.このNFI樹脂型へのナノ粒子の充填挙動を明らかにし,脱脂・焼結を経て幅数ミクロンで高アスペクト比のマイクロ構造体を得ることにより,MEMSデバイス等の設計・製造法への応用可能性を調査することを最終目標とした.幅1μm,高さ10μm以上,アスペクト比=10以上のラインアンドスペースパターンのマイクロ構造体の創製という高い目標設定に対して,最適な紡糸条件でSi型に直接ESナノファイバを塗布し,さらに紡糸溶液を被覆することにより補強し,溶媒抽出後に加熱したところ,最小幅1μm,高さ10μmの高アスペクト比の微細構造(ラインアンドスペース,円柱,円孔)を有するNFI樹脂型の作製に成功した.それらの微細構造の転写性は極めて良好であったが,直径1μmの円柱のみ強度不足のため倒壊することが分かった.次に,サブミクロン級のニッケル粉末または酸化チタン粉末と水溶性バインダのポリエチレングリコールを混練したペーストの粘度を測定し,コンタクト印刷に適した配合割合を決定した.このペーストをNFI樹脂型に印刷により充填し,溶媒脱脂後に健全な脱脂体を得た.これを焼成し,微細構造を有する焼結体が得られたが,やや欠陥とみられる箇所も見られることが分かった.
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日本機械学会論文集(A編)
巻: Vol.79, No.807 ページ: 1593-1603
10.1299/kikaia.79.1593