研究課題/領域番号 |
23560110
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
長島 伸夫 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点 疲労研究グループ, 主幹研究員 (30354252)
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研究分担者 |
早川 正夫 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点 疲労研究グループ, グループリーダー (50354254)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | tempered martensite / coase subgrain / grain boundary / creep-fatigue / nanoindentation / pop-in |
研究実績の概要 |
12Cr-2W鋼のPlate材,Pipe材,Tubu材のクリープ強度はほぼ同じである.しかし,クリープ疲労試験では,Plate材がPipe材の約2倍の長寿命であった.そこで本研究では,ナノインデンテーション試験により,力学的特性を評価し原因を明らかにした.ナノインデンテーション試験は,Plate材とPipe材の2鋼種のクリープ疲労試験前とクリープ疲労破断材を切り出し,機械研磨後電解研磨を施し,組織観察,ナノインデンテーション試験を実施した. 組織観察の結果,両鋼のクリープ疲労破断材はサブグレインの粗大化が見られるが,ブロック幅を超えなかった.また,クリープ疲労試験前に炭化物はほとんど確認されなかったが,破断材は粒界に多数の炭化物が確認された.また,旧γ粒界近傍は試験前と破断材であまり変わらない.異なる点は,pipe材で旧γ粒界近傍で粗大なブロックが観察された. ナノインデンテーション試験の結果,試験前の試料では,Plate材の旧γ粒界近傍(4μm以内)と旧γ粒界から離れた(4μm以上)の位置で約20点測定したが,平均硬さは216と218で変わらなかった.Pipe材も平均硬さは216と218で変わらなかった.クリープ疲労破断材では,Plate材の平均硬さは旧γ粒界近傍で195,離れた位置で190とあまり変わらなかった.一方,Pipe材は,旧γ粒界から離れた位置では,平均硬さは186でPlate材とほぼ同じでであるが,旧γ粒界近傍では,平均硬さは155と著しく低下した.また,140以下の硬さが4点あり,これらは全て押し込み過程で不連続になるPop-inが観察された.pop-inは,転位密度が極めて低い場合に発生する.このPop-inが観察された位置は旧γ粒界近傍の粗大ブロック内である.従って,旧γ粒界近傍の粗大ブロックの形成は,転位の回復が著しいことが明らかとなった.
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