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2012 年度 実施状況報告書

親和性の高い雰囲気におけるレーザー誘起反応を利用した高硬度材料の加工

研究課題

研究課題/領域番号 23560115
研究機関千葉大学

研究代表者

中本 剛  千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30198262)

キーワードダイヤモンド / 鉄粉末 / 除去加工 / 親和性
研究概要

本研究では,鉄粉末中に置いたダイヤモンドにYAGレーザービームによって熱を与えて,鉄粉末とダイヤモンドを加熱する.この加熱によって,ダイヤモンドの黒鉛化とダイヤモンドを構成する炭素原子が鉄粉末中へ拡散する現象が生じる.これらの現象によって,ダイヤモンドの除去加工を行う.本年度は,鉄粉末の量とダイヤモンドの除去量の関係を調べて,適切な鉄粉末の量を決めた.次に,適切な鉄粉末の量のときのレーザービームの出力や照射時間とダイヤモンドの除去量を調べた.レーザービームによって溶融した鉄粉末がダイヤモンドの表面に達しないと,ダイヤモンドを加工することはできなかった.ダイヤモンドの上に載せた鉄粉末が厚いと,溶融した鉄粉末はダイヤモンドの表面には達しない.一方,鉄粉末の厚さが小さいと,レーザービーム照射中に鉄粉末が除去されてしまい,ダイヤモンドに対して加工を施すことができない.このように,ダイヤモンドの上に載せる鉄粉末の厚さには,適切な値が存在する.
この加工では,加工後のダイヤモンドの表面に鉄粉末などが付着してしまう.このため,加工後のダイヤモンドを酸に浸した後でレーザービームを再照射することによって付着物を除去する方法を検討した.この方法についても適した条件を実験的に決定した.
以上は,ダイヤモンドの表面全体を加工する方法である.次に,マスクパターンをダイヤモンド表面に転写する方法の検討を行った.ダイヤモンドの表面に,ダイヤモンドと親和性の低いマスクを置き,その上に鉄粉末を載せる.マスクはアルミニウムと銅板に円形穴を開けたものを使用した.鉄粉末表面にレーザービームを照射することによって,マスクの円形穴の部分の鉄粉末とダイヤモンドが加工された.この加工についても,照射時間と加工量を調べた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本方法では,鉄粉末中のダイヤモンドにレーザービームを照射する.したがって,レーザービームを照射するときにはダイヤモンドを観察することができない.このため,照射のための位置決めの治具が必要となり,この治具の設計と製作を行った.次に,レーザービーム照射後のダイヤモンドの表面には鉄粉末などが付着している.これらを除去するための方法を試みていた.
さらに,ダイヤモンドは非常に高価であるため,本実験で使用したダイヤモンドの寸法も小さい.このため,マスクパターン転写法の実験では,マスク直径は0.5mmと0.8mmとした.実験で通常,使用している鉄粉末粒径は150マイクロメートル程度である.このためマスクの穴に鉄粉末が入りこまないことが生じた.これを解決するために,粒径の小さい粉末を使用して実験を行った.ただ,粒径が小さい粉末を使用しても,マスク穴径を小さくしていくと,粉末の大きさを無視することはできなくなる.このため,粉末を一度,溶融して使用するなどの方策を現在,試みているところである.
これらの理由で,達成度が,やや,遅れている.

今後の研究の推進方策

ダイヤモンド表面の全体を加工するための条件は,平成24年度で,ほぼ検討した.平成25年度は,ダイヤモンドの表面と鉄粉末の間にマスクを設置して,ダイヤモンドの特定の部分のみを加工する,マスクパターン転写法を中心に実験を行う.今年度の実験により,加工された面の凹凸は,粉末粒径に影響される結果となった.すなわち,粉末粒径が小さいほど,加工面の凹凸が小さい結果が得られた.そこで,粒径の小さい鉄粉末を用いて,できるだけ凹凸が小さい加工面が得られるようにしたい.ただし,粉末の粒径を小さくしても,加工面の凹凸は生じてしまう.このため,粉末を溶融させてマスク穴に入り込ませた後に,マスクパターン転写を行うなどの方法によって凹凸を小さくできないか検討したい.さらに,円形穴以外のマスクを用いてマスクパターン転写実験を行い,どの程度の形状まで得られるかも実験で検証したいと考えている.
ところで,本研究の申請者は,ガラスを用いてサファイアを加工する実験も行っている.この加工も,親和性の高い雰囲気を利用した加工である.このサファイアの加工の研究も進めて,ダイヤモンドの加工に適用できる事項がないか検討してみたい.

次年度の研究費の使用計画

本年度からの繰越額は,2,309円である.上記の予定通りに研究を遂行する予定である.

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公開日: 2014-07-24  

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