研究課題/領域番号 |
23560118
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
深川 仁 岐阜大学, 複合材料研究センター, 特任教授 (90592345)
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キーワード | CFRP / sermo-set / sermo-plastic / blast / drill / hole preparation / erosion / aerospace parts |
研究概要 |
航空機部品等に使われるCFRPに対する穴あけ加工技術を効率的に行う一手法としてブラスト加工を,ドリル等の一般的な手段と比較した結果,航空機部品用CFRP(厚さ1㎜)に,1-2㎜の小径穴あけでは,(ファスナー穴程の高精度穴でない限り)ブラスト方法が最も効率的に大量にあける方法として,適する結果を得た(上記条件の穴あけ加工時間は約1秒/穴であった).しかしブラストによる穴あけ過程は不明点が多く,CFRP薄板に対し微細砥粒を用いた直噴式ブラスト加工で,穴あけが進展する過程を観察し,微細エロージョン過程としての材料除去メカニズムを解明した(昨年度までの報告まとめ). 今年度はさらに,その状況を詳細に再検討した結果,以下の事項を確認した ①エロージョン摩耗の進展には潜伏期と進展期があるが,潜伏期は短い.また穴形状は圧力などの条件によって僅かにテーパーが生じる.②穴外周部と中央部で摩耗速度が変わる(穴断面位置によりエロージョンの偏析がある). ③加工時間が長いとマスク材が摩耗し、穴径が拡大することがある.④エポキシ系のマトリックス樹脂よりカーボン繊維が先にエロージョン摩耗する,その違いを数式から算出するとともに.エポキシ樹脂単体の材料を加工して,その差を確認した. ⑤CFRPの樹脂密度が織物の場所により変わるため,加工時間にばらつきが生じる.樹脂密度は樹脂だけを溶解させることで,算出し検証を行った.⑥CFRP穴あけ方法について,様々な技術の長短を比較分析した結果を論文にまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試験片作成時のマスク材作成において,メーカーに依頼しているが予想以上に時間が生じている. またエロージョン過程の分析で,レーザー顕微鏡にて穴の内面寸法観察を行なっているが,データが大量になり,その処理に時間を要している. その他の分析や実験はほぼ順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
・現在までに行なった結果を早期に論文(精密工学会など)に向けて,整理しなおす. ・研究補佐員を雇うことで,データ整理の効率を高めて研究を加速する. ・砥粒種類などの加工条件を変えた実験を,学生の支援を得て行い,エロージョン摩耗のパラメーター因子の影響による分析を完結させる. ・航空機メーカー(重工メーカー)とコンタクトし,実際の機体で使われている設計条件に近い供試体を試作する.
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次年度の研究費の使用計画 |
・航空機の実部品に近い形状でのハニカムサンドイッチ部品を試作する. ・メーカーでのマスクパターンの製作と,試験片加工の委託など ・データ整理や供試体製作のための研究補佐員の雇用を行う. ・論文発表(精密工学会など)を行って,学術的な研究成果を発表する.
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