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2012 年度 実施状況報告書

熱塑性変形を利用したバルク金属ガラスの常温弾性率の制御技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560121
研究機関三重大学

研究代表者

吉川 高正  三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10505902)

キーワードバルク金属ガラス / 熱塑性変形
研究概要

バルク金属ガラスに熱塑性変形を加えることで,微細結晶粒を生じさせ,工業的に有利な変形特性を発現させる条件を見出すことが本研究の目指すところである.特に,本研究では,熱塑性変形条件と,常温復帰後の弾性率の関係について明らかにすることを目指した.
Zr55Cu30Al10Ni5 バルク金属ガラスについての結晶化が進みやすい温度条件を避け,熱塑性変形時のひずみ速度およびひずみ量を網羅的に広げて調査を実施してきた.第2年度は,初年度に得られた偶発的な特性の変化をより詳しく調査できるシステムの構築を進めた.
第一に,結晶性金属材料と比較して温度感受性が高いバルク金属ガラスの熱塑性変形における温度制御と計測を実現するために,炉の制御系の改造と,多接点温度測定システムの構築を行った.前者として,当初の定温温度調節器1台による時間切替型の3段電熱炉の温度制御系を,プログラマブル温度調節器マスター1台+定温調節器スレーブ2台による3段独立プログラマブル調節システムに改造した.この方法により,炉内温度を昇温速度~設定温度までより精密に制御することが可能となった.また,後者の温度計測システムとして,多点センサ・スキャニング方式のデジタルマルチメータを用いた計測システムを構築した.いずれもハードウェアの設計から作製,ソフトウェアの作成までを独自に行い,研究の進捗により有利なシステムを実現した.
加えて,当該研究室所有の力学試験機において熱塑性変形を与えるときに必要となる変形計測に関して,市場商品との不適合によって購入が不可能であったビデオ伸び計の代わりに廉価の産業用カメラによる伸び計測システムの構築を進めた.
以上のシステムの構築により,最終年度の総括に向けて一層の進捗が得られると期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度に見いだされてきた材料改質は各種パラメータとの相関が不明瞭で,偶発的に現れる特性として判断せざるを得なかった.また,これらのパラメータについても制御や計測において課題があったため,これらを解決することが必要であると判断された.変形の制御と計測に関し,特に後者の計測系は炉内の温度計測が困難であるとともに,安価な市場商品が適合しなかったために,これを構築することが大幅に遅れた.現在,廉価な遠焦点産業用カメラを入手することで,独自のシステムを構築した.また,当初より予測されていた温度制御に関する改良について,電気炉制御システムを改造するとともに,多点温度計測系を実現した.以上の制御・計測系については,システムを外注によって実現することがコスト的に困難であったため,独自に設計・作製を行い,研究進捗により適切なシステムを安価に構築することができた.さらに,パラメータとしての熱塑性変形を材料に加える力学試験機の制御ソフトウェアについても自作を試みた.
以上のシステムは外注品や,単なる市場商品はなく,ほとんど自作であるために,進捗に遅れが生じた.ただし,以上のシステムは最終年度の研究の大幅な進捗の拡張を付与するものであると期待できる.

今後の研究の推進方策

当初計画における研究推進の遅れが見いだされたが,一層の進捗が目指せるシステムがほぼ実現されつつあるため,以下の通り進めていく.
(1)直交表による実験計画によって短期間・効率的に進め,熱塑性変形時のパラメータと材料改質との相関を確認していく.また,メカニズムとの相関調査のために,多面的実験検証を進め,総括していく.
(2)熱塑性変形時の伸び計測システムの構築の最終段階として,炉の可視窓の設置を完了させる.改造には外注を必要とするが,検討および設計は完了しており,実行直前に到達しているため,早期に完了し,研究の完遂を目指す.

次年度の研究費の使用計画

前項の研究の推進方策に基づき,次年度の研究費の使用において,以下のように計画している.当初計画状況に比べ,独自設計及び自主作製が増えたため,若干の猶予が生じているため,(1)炉の改造(900千円).(2)バルク金属ガラス試料に対して主として利用する.(1)についてはすでに進行しており,早期に完了する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 三重大学工学部機械工学科生体システム工学研究室HP

    • URL

      http://www.vivi.mach.mie-u.ac.jp/data/INST_Met.htm#BMG

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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