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本研究の最終年度である平成25年度は，工作物熱変形量を加味した円筒研削加工において，様々な加工条件下で寸法精度が確保できることを確認した．また，これまでは電気マイクロメータを片側から押し当てることで工作物の寸法生成量を測定していたものの，この手法では工作物が加工中に生じる研削抵抗により弾性変形し，その影響により寸法生成量の測定に誤差が生じやすいという問題があった．そこで本年度は，実験に用いる円筒研削盤を変更し，工作物の上下から工作物の直径の変化を測定する定寸ゲージを用いて実験を行い，より精度の高い実験を可能とした．本研究では，熱変形量が工作物の半径に対して最大で5μm程度発生する研削条件で加工を行っているが，どの加工条件においても寸法誤差は1μm以内に収めており，現在，円筒研削に要求される寸法精度を満たすレベルに達していることを確認している．さらに，工作物熱変形量を実測しなくとも工作物が熱収縮した後の寸法が予測できるように，すでに開発した熱変形量のシミュレーション解析結果と，寸法生成量の実測結果を足し合わせるプログラムを作成し，PC上での動作確認を実施している．
また，内面研削における形状精度の改善に関しては，砥石の損耗や弾性変形を考慮した加工終了後の工作物内面形状の推定が可能なシミュレーション解析の開発を目指して，スパークアウト時間（研削終了前に砥石を切り込まずに工作物との接触を保つ時間）を変更し，スパークアウト時間の違いによる形状誤差の推移を測定し，形状誤差の発生要因の解明を行った．スパークアウト時間には砥石の補正形状に応じて最適値が存在することがわかり，砥石に形状補正を行わずに研削した場合と比べると，スパークアウト時間を半分以下に短縮しても，同等以上の形状精度が得られることが確認された．
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