研究課題/領域番号 |
23560129
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 恵友 九州工業大学, 情報工学研究院, 准教授 (50585156)
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研究分担者 |
木村 景一 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (80380723)
カチョーンルンルアン パナート 九州工業大学, 先端金型センター, 助教 (60404092)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本年度は水酸化フラーレンによる効果を顕著にするため水酸化フラーレン混合スラリーおける微粒子の粒子径や種類に関する評価やマイクロパッドの作製技術の確立と効果検証,およびエバネッセント光を利用した微粒子計測技術の開発を中心に研究を行った. 微粒子の評価は当初コロイダルシリカ微粒子を中心に行う予定であったがダイヤモンド粒子についても検証した.その結果,水酸化フラーレンにおける材料除去レートの向上がコロイダルシリカ微粒子以外にダイヤモンド微粒子でも確認されており,この効果は両者とも粒子径が100nm以下の領域で確認された.ここでは粒子径が小さくなるにつれ研磨レートの向上する傾向を示しており,微粒子径が15nmでは従来のスラリーと比較して2倍程度まで向上することは確認できた.現在メカニズムについては解明されていないが微粒子径が重要な支配的要因であることから微粒子の表面による影響が水酸化フラーレンの効果を顕在化させるものと推測される. マイクロパターンパッドの作製技術としてはパッド材料の選定やインプリントプロセスの開発そしてマイクロパターンの寸法依存性について評価した.パッド材料としてはウレタンやPEEK材などで評価をした.インプリントプロセスは昨年度作製した専用熱圧着炉を使用した.その結果,4インチサイズの均一ぱマイクロパターンパッドを作製することが可能となった.ここではパターン寸法を3μm~7μmで評価したところ5μmのパターンでICパッドと比較し2倍程度の研磨レートが得られた. エバネッセント光を利用した微粒子計測技術については研究室所有の専用測定冶具でコロイダルシリカ微粒子がガラス基板に接触する様子を観察した.その結果,コロイダルシリカ微粒子がガラス基板に付着し転動する様子が確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では水酸化フラーレンによるナノスケール超平坦化技術を確立することであり,ここでは研磨レートの向上や加工後の表面粗さを分子レベルにすること,そしてメカニズムの解明を目指している.研磨レートの向上については本年度はフラーレン砥粒の粗大化および粒子径性制御技術の確立を実施する予定であったが,コロイダルシリカ微粒子やダイヤモンド微粒子などの混合微粒子の粒子径による影響が顕著であることが確認できたため,当初これらの評価を優先した.その結果,水酸化フラーレンにおける研磨レートが向上する効果は両者とも粒子径が100nm以下の領域で確認された.ここでは粒子径が小さくなるにつれ研磨レートのが向上し,微粒子径が15nmでは2倍程度まで向上することは確認できた.またフラーレン砥粒の粗大化については水酸化フラーレン水溶液の場合混合溶媒ではフラーレン砥粒の粗大化せず,pH14からpH3まで変化させた場合pHの低下によりフラーレン砥粒のサイズが増大することを確認できたことから概ね順調に進展していると判断した..マイクロパターンパッドについては昨年度購入した専用熱圧着炉を使用し,ウレタンやPEEK材などで研磨レートの効果について検証した.ここではパターン寸法を3μm~7μmで評価したところ5μmのパターンでICパッドと比較し2倍程度の材料除去レートが得られており,パターンの最適化についても概ね順調に進展している.フラーレン砥粒の微粒子計測については研究室所有の専用測定冶具で観察を行いエバネッセント光からの散乱光を解析することにより微粒子がガラス基板に付着し転動する様子を観察できたのでおおむね順調に進展している.最後にメカニズムについては微粒子径が重要な支配的要因であることから微粒子の表面による影響が水酸化フラーレンの効果を顕在化させるものと推測されるので来年度解析を行う.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について研磨レートの向上に関してはフラーレン砥粒の粗大化に着目し粗大化した粒子径や紫外線照射により物質変換を行うことによる効果について検証を行う.昨年度はpHによりフラーレン砥粒が粗大化することを確認してきたがこの粗大粒子を安定化させるためレーザ照射を行う.ここでは昨年度では混合微粒子としてコロイダル微粒子やダイヤモンド微粒子による効果を確認したが,本年度はレーザ照射により生成さらた新規炭素微粒子で同様な効果が得られるか検証を行う.また同一の定盤で高速研磨から最終仕上げ研磨まで可能であるか確認するため,表面粗さについても評価する.ここでは最終仕上げ研磨後の表面粗さを分子レベル以下にすることを目指す.またマクロパターンからのアプローチとしては昨年度に引き続きパターン密度など最適化することで研磨レートの向上を行う. メカニズムに関してはこれまで混合微粒子の粒子径が重要な支配的要因であることは確認できたが,研磨前後における水酸化フラーレンの変化やポリシング中での水酸化フラーレンの挙動については未解明である.そのため研磨前後の水酸化フラーレンを赤外吸収分光やラマン分光などの分析や質量分析,電子顕微鏡による水酸化フラーレンの観察を行い研磨前後における水酸化フラーレンの状態を解析することにより研磨にける水酸化フラーレンの作用について解明を行う.また水酸化フラーレンの挙動観察についてはDFMを用いる事により混合微粒子やサファイア基板表面に対する吸着状態の解明や研究室所有の専用測定冶具で観察を行いエバネッセント光からの散乱光を解析することにより微粒子がガラス基板に付着し転動する様子を観察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は水酸化フラーレンや基板などの消耗部材に対して使用するとともに機器分析センターや学外の分析施設などの利用料などに充てる.このほか学会や研究会活動するための旅費にも使用する. 本年度においては水酸化フラーレンの使用量やサファイア基板,SiC基板など在庫分で確保可能であったので未使用分は来年度で使用予定である.
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