研究課題/領域番号 |
23560137
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
白井 健二 日本大学, 工学部, 教授 (50256814)
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研究分担者 |
小林 義和 日本大学, 工学部, 准教授 (60277390)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 微細加工 / CAD/CAM / PZT / テクスチャ |
研究概要 |
近年、機械加工の分野においては、視覚的付加価値・質感・機能向上等によりシボ加工が注目されてきている。このシボ加工により成形品表面への塗装を不要とする部品が成形できるため、環境に優しい製品を作成できるメリットがある。しかしながら、微細な凹凸のあるシボ形状を加工するためには工具の微小な上下運動が必要となり、スピンドルを支持するステージのレール表面やボールネジへの摩耗等が問題となっている。その解決手段として、本研究においてはスピンドルを微小移動させるアクチュエータにPZTを装着した表面テクスチャ作製装置を開発する。 平成23年度は、主に表面テクスチャ作製装置とその制御プログラムを開発した。開発した装置は、スピンドルのアクチュエータにPZTを装着し、テコの原理を使用した切欠き機構によりその微小移動を増大させ、スピンドル移動として応用した。最終目標は革シボ加工を想定しており、深さ200μm程度の加工の可能な装置にする予定である。本装置は、PZTを用いた移動量拡大機構、制御PC、PZTドライバ、ファンクションジェネレータ及びXYZ軸ステージにより構成される。制御PCによりXYZ軸ステージの位置と加工する波形及び周波数等の加工条件を入力し、その条件を基に作られる信号をファンクションジェネレータに入力する。そして、得られた電圧信号をPZTドライバに入力することによりPZTが伸縮し、そのスピンドルの移動量を拡大機構により増大させ、被削材表面を加工する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発した表面テクスチャ作製装置を用い,正弦と三角の2種の2次元波形を加工した。それぞれの波形は、正弦波形の場合、振幅10~30μm、波長200~1000μmとし、三角波形の場合、振幅30μm、波長1000μmとして、それぞれ設定し、加工した。その結果、次のことが判明した。(1)入力波形と加工形状を比較すると、加工形状のほうが小さかった。その原因は、装置自体及びPZTの剛性が低く、加工時の負荷に対応できなかったことと考えられる。また、試料保持の方法等に試料の荷重がかかる場合、一部に変位があったと推定される。(2)加工形状、周期は上述(1)のように高さ方向は設計値通りとはなっていなかったが、ほぼ設計値どおりに加工された。(3)正弦波の15周期(山)を120回加工した結果により、PZTを用いた連続的な微小凹凸の加工が可能であることがわかった。これは精度よく正弦波形の平面加工が可能であることを示している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は表面テクスチャ作製装置を開発し、約30μmの最大振幅を持つ微細形状の加工を可能とした。しかしながら、装置の設計段階においては目標として高さ200μmの形状の加工可能な装置としていた。本年度に開発した装置は要求仕様を満足していない。主たる原因は、(1)PZT拡大機構が有効に機能していない、(2)装置の主要部品の材料がアクリルによって試作されており装置の剛性が低い等が考えられる。今後は装置全体をステンレス等の金属により作成し、またPZT拡大機構を改良し、目標とする高さ200μmの形状を加工可能な装置に改良する予定である。さらに、現在、正弦波形、三角波形、矩形波形等の単純な幾何形状を試作加工するインターフェースとなっているが、今後、通常のCADデータによってでも加工できるCAMシステムを開発する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は平成23年度に開発した表面テクスチャ作製装置の改良分として主に研究費を使用する。具体的には、(1)PZT拡大機構の試作費、(2)表面テクスチャ作製装置の主要部品の材料の変更による再作成のための諸費用、(3)加工実験のためのエンドミルや被削材等の消耗品費である。また、研究成果の報告として学会発表のための費用を計上している。
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