本科学研究費申請課題は,平成25年度が最終年であるため,申請当初の3つの項目である「ダイヤモンドワイヤ工具の高速作製とその切断評価」,「加工液や接着剤が加工特性に当てる影響」,「スライシング加工液中の加工液挙動」の3項目についてそれぞれまとめるための仕上げ実験を中心に行った. ダイヤモンドワイヤ工具の高速工作作製では,前年までに試作したダイヤモンドワイヤ工具の高速作製装置を用いて作製したダイヤモンドワイヤ工具表面の砥粒数が加工に与える影響について実験的に検討した.そして,加工に必要な砥粒条件を明らかにした.また,細線化に対する検討も行ったが,芯線径が小さくなるため,高電流をかけることができず,生産現場で利用するに耐え得る可能性を示す作製速度の実現ができなかった. 加工液や接着剤が加工特性に当てる影響については,市販のダイヤモンドワイヤ工具を用いた状態での加工液が加工に与える影響に付いて明らかにできた. スライシング加工液中の加工液挙動に関しては,ダイヤモンドワイヤ工具の切断加工ではワイヤ工具に揺動振動を付加させながら加工する方法が一般的に用いられている.そこで,揺動振動を援用したときの加工部での加工液挙動並びに加工溝内部に進入する空気挙動を高速度カメラで観察した.そして,加工部に進入した空気がどのような挙動をして,明らかにし,それがどのように加工に影響を与えるのかを明らかにできた.また,無振動加工との違いを明らかにした. 当初の予定はほぼ完了した.
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