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2011 年度 実施状況報告書

超音波振動援用による高性能内面ホーニング加工法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560141
研究機関中部大学

研究代表者

水谷 秀行  中部大学, 工学部, 教授 (10201790)

研究分担者 稲崎 一郎  中部大学, 総合工学研究所, 教授 (30051650)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード小径内面ホーニング / 超音波振動 / 砥石半径方向振動 / 強制切込み / 超砥粒砥石 / 寸法生成 / 形状精度 / 表面性状
研究概要

機械の構成要素(部品)は大小さまざまな円筒穴を有し、これら内径面の加工精度の向上と高能率加工の進展は、機械の性能および生産性の向上に不可欠である。本研究の目的は、砥石部分をパイプ・スリット構造としたホーニング工具を用いて、振動子が発する軸方向の超音波振動を砥石径方向の振動に変換し、これを円筒内径面に対する切込み運動として活用した新しい高性能ホーニング加工装置および方法を開発することである。本研究で開発する加工装置は、搭載する工作機械に特別な切込み機構を設けることなく、超音波振動の振幅を制御することによってμmオーダーの内径寸法の調整を可能にするものである。本研究初年度の23年度は、工作物回転型ホーニング装置による加工実験と並行して、給電方式にスリップリングを用いた小径穴加工用の工具回転型超音波振動ホーニング装置を設計、試作し、その基本性能の評価実験を行った。その概要は以下の通りである。1.砥石径方向に超音波振動を発現する電着CBN砥石ツールを設計・製作し、これによる焼入鋼のホーニング加工実験を行い、振幅制御に対応した寸法生成(穴径の拡大)を確認することができた。2.超音波振動ホーニングは、通常の強制切込みホーニングに比べて良好な仕上げ面性状が得られた。3.試作した超音波振動ホーニング装置により、サブミクロンの真円度が得られ、ホーニング加工として実用可能な形状精度を達成した。 以上の成果をもとに、24年度以降も引き続き円筒内面の仕上げ加工としてのホーニングの高性能化を目指した研究を推進する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究初年度の23年度は、工作物回転型ホーニング装置による基礎実験と並行して、本開発技術の実用化を前提とした工具(砥石ツール)回転型の超音波振動ホーニング加工装置を試作、完成させることができた。この装置は、砥石半径方向に超音波振動を発現し、その振幅調整によって仕上がり内径寸法の制御を行う新しい形式のホーニング加工を提供する。23年度は、開発装置の加工性能を評価するとともに、砥石半径方向振動による寸法生成の確認と形状精度、仕上げ面性状に及ぼす砥石ツールおよび加工条件、振動特性の影響等についても2,3の知見が得られ、ホーニング加工の高性能化を目指す本研究の第1フェーズの目標を概ね達成することができた。 一方、これまでの準備期間を含めた研究成果の一部について出願中の特許が公開された(特開2012-45642)。また「振動切削フォーラム2012」(平成24年4月20日/慶應義塾大学)において本研究開発の独創性および有用性について講演発表を行った。さらに、「中部大学テクノモール in 中濃」(平成24年7月12日/シティホテル美濃加茂)においてシーズ研究として発表を予定している。 以上のような研究の進展および社会への発信状況から判断して、本研究初年度の「研究目的」の達成度について上記の自己評価を行った。

今後の研究の推進方策

平成24年度以降の研究の推進方策は、23年度に試作、完成した工具回転型超音波振動ホーニング装置を使用して小径内面の高精度、高能率加工技術の進展を図る。具体的な研究推進計画は以下の通りである。1.試作した工具(砥石ツール)および超音波振動装置の振動特性、とくに振動振幅と寸法生成過程との関係を調べ、振幅調整による加工寸法制御の方法を確立する。2.砥石と工作物内径面の軸方向相対位置を種々変化させ、砥石半径方向の超音波振動を利用した内面ホーニングの寸法生成および円筒形状創成過程を明らかにし、効率的な円筒形状誤差の修正方法を見いだす。3.円筒形状精度および仕上げ面性状に及ぼす砥石、加工条件および超音波振動特性の影響について検討する。4.各種構造用セラミックス材料に超音波振動ホーニングを適用し、硬脆材料の超音波振動切削特性を明らかにするとともに、硬脆材料加工用の砥石および加工油剤についても適正条件を探索する。5.砥石の摩耗過程を作用面の断面プロフィル、SEM観察等によって調べ、高性能砥石開発のための基礎資料を提示して研究を総括する。

次年度の研究費の使用計画

研究2年目の24年度は、超音波振動ホーニング用砥石ツールの開発、設計、製作費のほか、加工実験推進年度として、実験およびデータ整理のための人件費(謝金)、被削材料および加工油剤等の消耗品が必要であり、これらの購入経費を計上している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ミセルとポリマーを用いた水溶性ホーニング油剤の開発2011

    • 著者名/発表者名
      山本修太郎、榎本俊之、水谷秀行、浜岡亨、向恭平
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集(C編)

      巻: 77-776 ページ: 1535-1543

    • 査読あり
  • [学会発表] 超音波振動を援用した高性能ホーニング加工2012

    • 著者名/発表者名
      水谷秀行
    • 学会等名
      振動切削フォーラム2012(招待講演)
    • 発表場所
      慶應義塾大学(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2012年4月20日
  • [学会発表] 超音波振動援用による表面特性向上型切削法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      水谷秀行
    • 学会等名
      ABTEC2011(2011年度砥粒加工学会学術講演会)
    • 発表場所
      中部大学(愛知県春日井市)
    • 年月日
      2011年9月9日

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公開日: 2013-07-10  

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