研究課題/領域番号 |
23560143
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
山口 智実 関西大学, システム理工学部, 教授 (10268310)
|
研究分担者 |
島田 尚一 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20029317)
古城 直道 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80511716)
|
キーワード | 超精密加工 / 超仕上 / 平滑加工 / メカノケミカル / ダイヤモンド / 複合砥粒砥石 / サファイア / シリコン |
研究概要 |
1.平成24年度では,ダイヤモンド砥粒(SD)にメカノケミカル(MC)砥粒である結晶質シリカ(SiO2)を加えたMC複合砥粒砥石の優位性を見出すことができなかった.そこで,平成25年度では,粒度・結合度・ダイヤモンドの砥粒率を変更した複数種のMC複合砥粒砥石を製作し,前年度に用いたSD単体の砥石との超仕上性能を比較した.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 高圧力(およそ0.6MPa以上)下では,同じ粒度の砥石では複合砥石の方が粗さは小さくなる.(2) どちらの砥石も砥粒率が大きく結合度の低い砥石の方が仕上面粗さは小さくなるが,砥石損耗量を比べると明らかに複合砥石の方が少ない.(3) 最も仕上面粗さを小さくできたのは,SD4000/SiO2 Iの複合砥石であり,900秒の超仕上でおよそ5.5nmRa以下の粗さを達成した.以上のように,適切なMC複合砥石を用いれば,SDのような硬質超砥粒砥石よりもサファイアの超仕上による平滑加工において優位性があることが明らかになった. 2.平成24年度では,シリコン基板の超平滑化のためのMC砥粒として硫酸バリウム(BaSiO4)を用い,その酸化作用にて平滑化が行えることを確認した.そこで,平成25年度では,BaSiO4よりもシリコンの酸化作用の高い酸化銅II(CuO)を新たなMC砥粒として砥石を開発し,その加工特性を調べた.その結果,CuO砥粒が柔らかく変形し易いため,シリコンとの接触時に化学反応を起こすに十分な接触温度が上がらず,BaSiO4ほどの効果は得られなかった.すなわち,MC砥粒砥石の条件として化学反応の大きさだけではなく,砥粒の変形性,結合度,組織などを考慮すべきことがわかった.
|