研究課題
本研究で提案する四節リンク,ワンウェイクラッチ,カムによる複合伝達機構型無段変速機(L-CVT)は,従来の手法とは異なり,摩擦伝達機構を用いないことを特徴とする無段変速機である.前年度(23年度~24年度)に開発したL-CVTは,二つのてこクランク機構を対称に配置し(23年度),また,四つのてこクランク機構を並列に配置した(24年度)機構をもつ.てこ(出力軸)とクランク(入力軸)を結ぶ連結棒の長さを連続的に変化させるため,四節リンク機構の早戻り機構の運動を別のモータで等速度制御し,これによって,入力軸の回転数と出力軸の回転数の比を連続的に変化させることにより,無段変速を実現した.この方式は,すべり等による伝達ロスがないため,伝達効率が高いと考えられている.また,昨年度(24年度)は,連接棒を伸縮するためのカムの形状について解析し,解析結果を基にカムを設計し,このカムを搭載した平板カム搭載型L-CVT(試作3号機)を開発して検証をおこなった.3号機は,伝達効率が高く,磨耗や粉塵等による障害が発生しないという特長をもつ.本年度(25年度)は,昨年度(24年度)に開発した3号機を発展させて,立体カム搭載型L-CVT(試作4号機)の設計,数値シミュレーション,および無段変速の理論構築をおこなった.立体カムを搭載した4号機は,クランク(入力軸)に加わる回転力(トルク)の動力の一部が歯車等の機械要素を介して伝わることで,立体カムが回転する.入力軸となるクランクを回転させて,立体カムの回転軸方向へ,カムスライド機構によってスライド動作をさせることで,カムローラと接触した連結棒が伸縮し,本来の四節リンク機構の早戻り運動が等速度制御されて,入力軸の回転数と出力軸の回転数の比を連続的に変化させることができ,この結果,連結棒を伸縮させるための別のモータが不要となり,無段変速が実現できる.
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精密工学会誌
巻: Vol. 79, No. 10 ページ: 943-949
ISSN 0912-0289
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