研究課題/領域番号 |
23560151
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福井 幸男 筑波大学, システム情報系, 教授 (80311596)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 3次元形状比較 / 設計支援システム |
研究概要 |
23年度から25年度の全体計画は3つの項目に大別できる。それらは、既存の靴型を再利用するために靴型の形状データから形状特徴線群を抽出する部分、足形状データからそれに適合する靴型の形状特徴線群を抽出する部分、靴型と足形状からの形状特徴量を比較し、適合性を指標化して数値化する部分である。23年度は最初の項目について研究を進めた。 先ず、かがみ式設計手法に基づいて製作された靴型の形状を、3次元スキャナーで点群として取り込んで、後処理のための座標系を設定した。さらに、設計手順に従って必要な各種の寸法や断面形状を抽出する作業をコンピュータ内で行うためのプログラムの開発を行った。先ず靴型の長手方向、垂直断面となる基準面の位置、方向を主成分分析によって決定し、その断面内で靴型の輪郭線上に、設計上の基本点群となる点群を配置するための計算式を実装した。さらに、その点をとおり基線軸方向を、基準面内に設定すると共に、足首位置から足底方向に投影した水平面内でも基線軸方向を決定した。基本点群を通り2つの基線軸方向を含む靴型の特徴となる断面(特徴断面)の2次元形状を抽出し、その輪郭線から周囲長や甲高等の設計情報を抽出するプログラムを開発した。 一つの靴型に対して、複数の靴型特徴断面があるため、これらの断面形状から得られる設計情報を要素とした特徴ベクトルを生成した。これにより、設計情報に基づく複数の靴型間での形状比較が容易となった。一方、複数の靴型間で、特徴断面の輪郭形状の形の差を立体的に取り出して、その帯状の形状の面積から類似度を算出するアルゴリズムも実装した。これらの2つの手法による靴型形状の比較手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
靴型形状の点群データから形状比較する手法を開発出来た。まだ精度を向上させる工夫が残されているが、ほぼ計画は達成されたと見なせる。一方、足型から靴型設計情報を取り出す過程については、手作業でのステップは終了しており、その手順をコンピュータ上に載せる部分に関しては、靴型に関する項とほぼ重なるので、ほぼ計画は達成されたと見なせる。
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今後の研究の推進方策 |
靴型の設計情報から靴型の類似度を求める手法を2通り実装したが、それらを統合することが必要と考えている。また、新規靴型製作の場合の精密な曲面形状生成も実装する必要がある。曲面生成に関しては、設計情報に沿った制約条件付きの曲面生成となるので、文献調査を詳細に行い、新たな手法開発が必要な場合は、計画の方針の検討とプログラム実装を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規靴型の設計のためには、最適な条件を探索するための繰り返し計算が予想されるために、高性能なコンピュータの購入や、国際会議で発表するための参加費、旅費、計測実験時の謝金などを予定している。なお、今年度に6万円弱繰り越すことになったが、論文投稿を予定していたが、2通りの類似度を統合して評価してからの方が論文としてさらに良くまとまると年度末近くになって決断したため、論文投稿に必要な費用の一部が残ったためである。
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