研究課題/領域番号 |
23560156
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
志摩 政幸 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70092583)
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研究分担者 |
地引 達弘 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (40322094)
菅原 隆志 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助手 (90456319)
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キーワード | 耐摩耗性 / 海水中 / フレッチング摩耗 / 犠牲陽極 / 亜鉛 / DLC膜 |
研究概要 |
概要 オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)に被覆したダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜につき、人工海水中におけるフレッチング摩耗特性を調べた。またDLC膜の摩耗に対する寿命を向上させることを狙って、相手材の影響を調べるとともに、犠牲陽極となる亜鉛(Zn)をDLC膜付材料の端部に被覆あるいは相手材に被覆してその効果を調べた。 その結果、相手材としては、セラミックなどの硬質材よりも、リン青銅などの軟質材の方がDLC膜の耐摩耗寿命を向上させること、フレッチング環境としてはストロークが大きく影響し、ストロークが小さい方が耐摩耗寿命が高いことが分かった。犠牲陽極となるZnの付与は、DLC膜の耐摩耗寿命に大きな影響を及ぼし、その付与によりDLC膜の耐摩耗性は著しく向上することが分かった。 亜鉛(Zn)の付与による耐摩耗効果現象を明らかにするために、Znが付与されているときと付与されていないときの腐食電位を測定するとともに、摩擦係数の測定、表面観察(元素分析、表面粗さなど)を行った。その結果、人工海水中ではイオン化傾向の高いZnが溶けてイオン化し、それが摩擦面に侵入して亜鉛酸化物あるいは水酸化物として存在することにより、潤滑作用をすることを明らかにした。 本研究成果を実用化するための基礎研究として、Znの供給方法および実海水中での効果を検討した。その結果、Znの配置位置としては摩擦面に近い方が効果的であることが分かった。また、Znの耐摩耗効果は、人工海水中と同様あるいはそれ以上にあることを明らかにした。
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