研究課題/領域番号 |
23560157
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
金子 覚 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (90161174)
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研究分担者 |
田浦 裕生 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (20334691)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 平行環状シール / ダンパシール / 四角穴パターン / 静特性 / 動特性 / 静的偏心率 / 穴深さ |
研究概要 |
本研究はポンプの高効率化,高安定性に寄与する液膜シールの開発を目的として,しゅう動面に四角穴パターンを有するダンパシールを対象に,穴形状パラメータ(穴寸法,穴数,穴の配置)が静特性(漏れ流量)および動特性(動的流体力,動特性係数)に及ぼす影響を理論的,実験的に解析するものである. 3年の研究期間の初年度である平成23年度の研究実績は以下の通りである.1.四角穴ダンパシールの静および動特性に関する数値計算 (1) 境界条件の修正:シール流入端,流出端のコントロール・ボリュームのとり方に改良を加え,シール周囲の流れ場の条件をより正確に与えた.(2) ロータの静的偏心率およびシール表面(ステータ側)に設けた四角穴の深さが,静特性(漏れ流量,静的液膜反力)および動特性(動特性係数,ふれまわり周波数比(不安定振動を引き起こすふれまわり速度の範囲))に及ぼす影響を調べた.その結果,静的偏心率は液膜反力を増加させるが,漏れ流量,動特性係数およびふれまわり周波数比に及ぼす影響は小さい.一方,四角穴の深さは,その深さを増加すると漏れ流量が減少し,ふれまわり運動を抑制する効果が大きくなることが明らかになった.2.四角穴ダンパシールの実験装置 (1) 四角穴しゅう動面を有するダンパシールの製作:穴形状パラメータ(穴寸法,配置,数)の異なる四角穴シールを製作した.(2) 測定系の改良:実験後のデータ処理の自動化を促進するため,データ処理用パーソナルコンピュータ,A/D変換ボードを高速度処理可能なものに変更した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値解析では,ロータ中心が静的偏心状態にある場合の静特性および動特性の結果を算出することができ,これは当初の計画よりも進展している.一方,実験ではシールの製作,測定系の改良を一部実施したが,軸に取り付けた圧力センサの不具合で,予備実験(静的平衡状態下(ロータが自転運動のみの場合)での,漏れ流量および液膜圧力分布の測定)ができず,また給排水用配管の改善も手が回らず計画より遅れている.総合的に判断して,"おおむね順調に進展している"と評価する.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は,平成23年度に引き続いて1.四角穴ダンパシールの静特性および動特性実験(田浦) ○圧力計の不具合で実施を見送った試験装置の改良の残りを実施する.○静特性実験:四角穴形状パラメータ(穴寸法,配置,数)の異なるシールを用いて,静的平衡状態下(ロータが自転運動のみの場合)で種々の運転条件(シール両端の差圧,自転速度)に対して,漏れ流量および液膜圧力分布を測定する.数値解析モデルに適用する急拡大部の損失係数の精度向上をはかるため,実測した圧力分布からも拡大損失係数を直接求める.○動特性実験:ロータの同心ふれ回り運動に対する動特性(動的流体力,動特性係数)を測定する.2.四角穴ダンパシールの数値計算とその妥当性の検証(金子)静特性実験で得られた急拡大損失係数を適用して,四角穴ダンパシールの動特性を算出する.また,実験結果との比較により,解析モデルの妥当性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,広範囲わたる穴形状パラメータに対する静および動特性を算出するため,設備備品費として数値計算用の大容量,高速度のワークステーションを計上する.消耗品としては,四角穴ダンパシールの製作費,ロータの自転およびふれ回り運動を支持する転がり軸受(深溝玉軸受および円筒ころ軸受のセット)などを計上する.また,平成23年度に実施できなかった試験装置の給排水配管の改良のため,設備備品としてポンプ,消耗品として配管用部材を購入する.
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