研究概要 |
本研究はポンプの高効率化,高安定性に寄与する液膜シールの開発を目的として,しゅう動面に四角穴パターンを有するダンパシールを対象に,穴形状パラメータが静特性(漏れ流量)および動特性(動特性係数,ふれまわり周波数比)に及ぼす影響を解析した.3年の研究期間の最終年度にあたる平成25年度の研究実績は以下の通りである. 四角穴の穴形状パラメータ(穴断面積,穴数,穴部総面積一定のもとでの穴断面積と穴数の組み合わせ)が静および動特性に及ぼす影響を明らかにした.結果を要約すると (1) 漏れ流量Q:穴数一定のもとで穴断面積(穴寸法)を変えた場合[パターンNo.1]および穴断面積一定のもとで穴数を変えた場合[パターンNo.2]は,Qに及ぼす影響は小さい.一方,穴部総面積一定のもとで穴数と穴断面積の組み合わせを変化させた場合[パターンNo.3]は穴断面積が小さく穴数が多くなるとQは減少する. (2) 動特性 主対角減衰係数Cm(ふれ回り運動を抑制する指標), 連成ばね係数Kc(ふれ回り運動を促進する指標):CmはパターンNo.1,No.2では変化しないがパターンNo.3で穴断面積が小さく穴数が多くなると増加する.一方,パターンNo.1で穴断面積が大きい場合,パターンNo.2で穴数が多い場合,パターンNo.3で穴断面積が小さく穴数が多い場合,Kcの大きさは減少するとともにシール流入端の入口旋回流速度(α)がKcに及ぼす影響が定量的に小さくなる. (3) ふれまわり周波数比 WFR(不安定振動を引き起こすふれまわり速度の範囲):Kcの場合と同様に,パターンNo.1で穴断面積が大きい場合,パターンNo.2で穴数が多い場合,パターンNo.3で穴断面積が小さく穴数が多い場合,WFRは小さくなるとともに,αがWFRに及ぼす影響が定量的に小さくなり,ふれ回り運動を抑制する点からロータの安定性が向上する.
|