研究概要 |
平成23年度の研究実績は以下の通りである.・研究計画[1]ボルト・ナットのピッチ差(α:0~8μm)による緩み止め効果の関係の解明 ここでは,通常ボルトの締付けトルクを求める式(1)を利用する方法で緩み止め効果の検討を以下の手順で行った(ボルト・ナット間にはすき間(クリアランス)がないものと仮定).Ts=(d2/2)Ftanρ+(d2/2)Ftanβ+(dw/2)μF(1) 有効径の基準寸法d2=0.01472m,ボルト軸力FN,ねじ間の摩擦角ρ=arctan(μ),ねじのリード角β=0.043°,座面の有効径 dw=0,座面間の平均摩擦係数μ=0.3(1)微小α(2,4,6,8μm)を付与した条件で有限要素法により軸力を求め,次に,式(1)より,プリベリングトルクTS(締結力が生じるまでに,ナットの回転挿入に要するトルク)を求める.このTSは実験結果とほぼ一致することを確かめており,簡便にプリベリングトルクを評価できることを確認した.(2)αに対するTs値は,α=2[μm]:Ts=20.3[kN・m]から,α=8[μm],Ts=82.4[kN・m]と,ピッチ差に比例して増加することがわかった.(3)TSが13.5N・mの場合にねじ締結体は十分な緩止め性能があることを緩み試験機を用いて確認できているので,α=2μm以上で緩み止め効果があると評価できた.・研究計画[2]ビッチ差(0~8μm)と応力集中緩和効果の関係の解明 αを変化させてボルト・ナット締結体の応力集中効果を,荷重条件を変えて有限要素法により解析し,各荷重条件に対する最適なピッチ差の範囲を求めた[解析条件:αの範囲0~8μm,ボルトサイズM16,ナットのねじ山数8山,静的荷重20,30kN,変動荷重±1.5,±3.0 kN].この結果,各荷重条件に共通して,α=2~3μmが強度上の最適条件であることが分った.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費:合計800,000円(1)旅費(調査・成果発表旅費等):小計500,000円[内訳・代表者調査旅費:50,000円・代表者成果発表旅費:75,000円・分担者調査旅費:175,000円・分担者成果発表旅費:200,000円](2)謝金(実験費用):小計260,000円[内訳・ボルトの疲労試験費用: 160,000円・ゆるみ,トルク試験費用:100,000円](3)その他(試験片製作費):小計40,000円[内訳・ボルトの疲労試験片製作費: 30,000円・ゆるみ,トルク試験片製作費:10,000円]
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